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平成21年6月定例会(第4日目) 名簿
平成21年6月定例会(第4日目) 本文

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  1. 島根県議会 2009-06-04
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成21年6月定例会(第4日目) 本文 2009-06-29 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 67 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長田原正居選択 2 : ◯洲浜繁達議員 選択 3 : ◯議長田原正居選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長田原正居選択 6 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 7 : ◯議長田原正居選択 8 : ◯農林水産部長石垣英司選択 9 : ◯議長田原正居選択 10 : ◯土木部長鳥屋均選択 11 : ◯議長田原正居選択 12 : ◯中島謙二議員 選択 13 : ◯議長田原正居選択 14 : ◯知事溝口善兵衛選択 15 : ◯議長田原正居選択 16 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 17 : ◯議長田原正居選択 18 : ◯農林水産部長石垣英司選択 19 : ◯議長田原正居選択 20 : ◯教育長藤原義光選択 21 : ◯議長田原正居選択 22 : ◯副議長上代義郎選択 23 : ◯三島治議員 選択 24 : ◯副議長上代義郎選択 25 : ◯知事溝口善兵衛選択 26 : ◯副議長上代義郎選択 27 : ◯総務部長(加松正利) 選択 28 : ◯副議長上代義郎選択 29 : ◯環境生活部長(山根成二) 選択 30 : ◯副議長上代義郎選択 31 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 32 : ◯副議長上代義郎選択 33 : ◯教育長藤原義光選択 34 : ◯副議長上代義郎選択 35 : ◯藤間恵一議員 選択 36 : ◯副議長上代義郎選択 37 : ◯知事溝口善兵衛選択 38 : ◯副議長上代義郎選択 39 : ◯総務部長(加松正利) 選択 40 : ◯副議長上代義郎選択 41 : ◯環境生活部長(山根成二) 選択 42 : ◯副議長上代義郎選択 43 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 44 : ◯副議長上代義郎選択 45 : ◯農林水産部長石垣英司選択 46 : ◯副議長上代義郎選択 47 : ◯土木部長鳥屋均選択 48 : ◯副議長上代義郎選択 49 : ◯知事溝口善兵衛選択 50 : ◯副議長上代義郎選択 51 : ◯議長田原正居選択 52 : ◯須山隆議員 選択 53 : ◯議長田原正居選択 54 : ◯知事溝口善兵衛選択 55 : ◯議長田原正居選択 56 : ◯地域振興部長(長谷川眞二) 選択 57 : ◯議長田原正居選択 58 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 59 : ◯議長田原正居選択 60 : ◯教育長藤原義光選択 61 : ◯議長田原正居選択 62 : ◯須山隆議員 選択 63 : ◯議長田原正居選択 64 : ◯知事溝口善兵衛選択 65 : ◯議長田原正居選択 66 : ◯健康福祉部長錦織厚雄選択 67 : ◯議長田原正居) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時2分開議 ◯議長田原正居) これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  引き続き一般質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  洲浜議員。  〔洲浜繁達議員登壇、拍手〕 2: ◯洲浜繁達議員 おはようございます。自民党議員連盟の洲浜繁達でございます。  知事を始め執行部の皆様の前向きな御答弁を期待しております。  まず初めに、自民党政権についてであります。  政権政党である自民党は、昭和30年11月に結成いたしました。政治は国民のものとして、公共の福祉を増進することを誓い、政治理念の第1に議会民主政治の邁進、第2に個人の自由と人格の尊厳を社会秩序の条件とすると立党宣言をして以来、真の自由主義、民主主義のもとに、平和と自由を愛する国民政党として、50年余の間、国民の負託にこたえ、国家の安全と経済的豊かさを実現すべく、常に指導的役割を果たしてきたところであります。今後もその実績と国民の期待を背負い、安心と活力のある社会を構築していくための責任政党としての役割を担っていこうとするところであります。  近年では、90年代後半、バブル経済の崩壊により、日本発の世界恐慌が起こる寸前の状況で、自公連立政権が不良債権処理や金融政策によって金融危機を回避し、今回の不況以前までに戦後最長の好景気を生み出したところでありますが、この成果がなかりせば、今回の世界不況では日本は完全に崩壊していたと言われております。  また、アメリカでのサブプライムローン問題を発端にした今回の世界的不況に対し、政府・自民党は平成20年度の2段階の補正予算から平成21年度新年度予算を成立させ、3段ロケットと呼ばれる強力で切れ目のない経済対策の実行に結びつけました。さらに、今回の底割れの回避、未来への投資、政策総動員、税制改革を柱とした事業規模56.8兆円の補正予算を成立させたところであり、それは平成21年度実質GDP成長率を2%押し上げる効果と、需要拡大による年間40から50万人の雇用創出の効果を目指しているところです。現在の厳しい日本の経済状況を乗り切り、また日本の未来を見据えてこの経済危機対策を打ち出そうとした我が政党、政治家の思いと、不景気の脱出を欲する国民の思いが一致した結果が補正予算成立の実現につながったものであり、経済の活性化に大きく期待するところであります。  先般、政府は6月の月例経済報告で、景気の基調判断を、一部に持ち直しの動きが見られると、2カ月連続で上方修正されたところであります。景気の状況認識を示す基調判断から悪化が消えるのは昨年11月以来の7カ月ぶりで、事実上の景気底打ちが宣言されました。このことは、経済対策の効果が景気の下支えをしたあらわれであり、景気に明るい兆しを見出し始めてきたことも推察するところであります。しかしながら、県内における景気の厳しさは変わりない情勢であり、今後の動向を注意深く見守っていく必要があります。  我が島根県自民党議員連盟では、深刻な状況にある本県の地域経済の立て直しのために、国の平成20年度第1次、第2次補正予算、平成21年度当初予算の経済対策に対応した施策の実施と県独自の対策も含め、大胆かつ即効性、実効性のある早急な経済対策の予算要望を重ねてきたところであり、これまでの県の予算編成に大きく反映していただいたところであります。さらには、今回の国の経済危機対策に対応した施策の積極的な実施と、国の補正予算に連動したより一層効果的な県単独事業による経済対策を実施するための平成21年度県補正予算要望も行ってまいりました。今後も地域のためを思い、県内経済の活性化に向けた行動を起こしてまいりますので、知事の真摯な対応を引き続きお願いするものであります。  また、これまでも時代の変革に対応し、国への要望活動、条例提案、施策提言などさまざまな取り組みを行ってまいりました。自民党議員連盟政策審議会の中に政策検討部会を設置し、直近の2年間では、県立病院における医師の処遇改善をテーマとした医療問題検討部会など4つの部会でそれぞれ現地調査などを行った上で検討を重ね、知事に提言を行ってきたところであります。そして、政治課題の実現のために結成した各政策検討議連では、中山間地域・過疎地域対策推進を始めとし、各分野別に毎年東京に出向き、各省庁や自民党本部への要望活動や国との意見交換を行っているところであります。これからもこうした取り組みをさらに進め、その時々の時代に必要な施策提言を積極的に行っていく所存であります。  そこで、こうした自民党政権の政策について知事はどのような感想をお持ちになっているか、お聞きいたします。  次に、公共事業についてであります。  本県においては、近年、財政健全化の取り組みに伴う公共事業量の大幅な減少や原油価格の高騰、さらには世界的金融危機の影響を受け、県内の経済情勢や産業活動は大きく低下してきており、建設業者の経営環境も大変厳しい状況にあります。県内の建設業者の倒産件数は、平成15年度から平成20年度までの6年間で152件、雇用数も同期間に4,119人減少しております。
     このような状況の中、本県においても国の経済危機対策としての補正予算の成立に呼応し、平成20年度の2月補正予算、平成21年度当初予算に続き、今議会へ公共事業費として118億円の補正予算案を提出されたところです。これらの公共事業費の執行に当たっては、県内の景気回復につながるように配慮することが必要であり、国においては今年度上期の発注目標を過去最大となる8割に置いて作業がなされていると聞いています。国の目標をすべての事業に適用することは困難な面もありますが、景気回復に資するためには早期発注と県内企業への優先的な発注が必要不可欠と考えています。2月補正予算の執行に当たっては、議会側においても2月議会における補正予算の先行決議を行うなど、その予算の早期執行に努力したところであります。  そこで、伺います。  今年度予算の執行に当たってもこのような配慮が必要であると考えますが、今年度の当初予算、また今回の補正予算の執行についてどのような方針で取り組まれようとしておられるのか、考えをお聞かせ願います。  これまでの経済対策により公共事業量は増加しているものの、県内の建設業者の経営環境は依然として厳しい状況にあることには変わりありません。建設業者は、県土の保全や県民の安全・安心な暮らしの維持、また中山間地域の基幹産業として雇用の確保を担ってきました。特に、本県のように社会資本整備がおくれ、基幹製造業の乏しい地域においては、やはり建設業の果たす役割が非常に大きいと思われます。  社会資本整備の担い手としての役割は言うに及ばず、産業としても生産額や雇用人員の面で大きな役割を担ってきました。特に中山間地や離島のような地理的条件などの厳しい地域においては、災害時の緊急対応や積雪時の除雪対応など、地域住民の安全・安心な生活の守り手としての役割も担ってきました。これらは今後も変わらず期待されているところであり、地域に根差した優良な建設業者が存続していかれるような環境を整備することが行政の役割の一つと考えます。  このような観点からも、適正な数の建設業者が地域に存在することは絶対に必要であり、そのためには適切な公共事業の受注がなくてはなりません。また、地域の建設業者を維持、育成、再生するためには、県内の地元業者に発注する必要があるとともに、受注業者に対しては県内下請業者を使用させるなどの対応が必要であると考えます。  そこで、伺います。  県内の公共事業の額は、この10年間でどのように推移していますか。  また、公共事業の県内経済への波及効果をさらに増大させるためにも、県の発注する工事において、県内建設業のさらなる受注機会の拡大を図る必要があると思いますが、県発注工事及び国直轄事業においての県内建設業者の受注実績と、県としての県内建設業の受注機会の拡大の方策についてお聞かせください。  地域建設業が持続的に発展するためには、適正な利益の生ずる価格での受注が必要であります。ダンピング受注や低入札による受注が横行すれば、地域建設業の健全な発展は望めないのではないかと考えます。  県においては昨年9月に、最低制限価格及び低入札調査基準価格の見直しを行われました。一方、国においては昨年4月の見直しに続き、今年4月には、低入札調査基準価格の範囲を、これまでの予定価格の3分の2から10分の8.5までを10分の7から10分の9までとされるなど、さらなる見直しを実施されています。また、都道府県の中には、最低制限価格を予定価格の90%程度まで引き上げたところもあると聞いています。  こうした中、島根県建設業協会、島根県建設産業団体連合会においても、先月、知事及び島根県自民党議員連盟に対し、最低制限価格、低入札調査基準価格の見直しについて要望されましたが、我が自民党においても検討すべきことであると考えております。  そこで、伺います。  地域経済を守り、地域の雇用を維持する観点から、また地域の建設業の継続的な進展を図るために、本県においても最低制限価格及び低入札調査価格の見直しの検討を始める時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。  次に、森林、林業、木材産業についてであります。  近年、森林による二酸化炭素吸収量の確保が国民の関心事となっております。しかし、日本林業は、海外の森林資源の減少や開発途上国の木材需要が増大傾向にある影響で、長期的には追い風を受けると想定されますが、現時点では依然として厳しい状況にあります。  本県では、戦後植林した杉を始めとする人工林が森林の約4割を占めますが、これらが利用できるまでに成長してきています。また、約6割を占める天然の広葉樹林や松林も、木炭や製紙用チップの生産量が減少したことに伴って、かなり成熟していると聞いております。近年、石見地域で発生したナラ枯れ被害も、広葉樹林が成熟し過ぎたために、菌に対する抵抗力の低下を来したことが背景にあると言われております。  産業や雇用の面から本県の林業を見ますと、製材、チップ、合板、家具、建具など県内製造業への原材料や住宅建設用の資材を安定的に供給すると同時に、植林、間伐、木材生産、木材加工の各段階で非常にたくさんの雇用を創出するといった極めて重要な役割を担っております。私は、経済、雇用が冷え込んでいる今こそ、最大の地域資源とも言える森林資源を生かす林業の役割を再評価し、林業と木材産業の活性化に向けて積極策を展開すべきだと考えるのであります。  県は、平成20年3月に策定した新たな農林水産業・農山漁村活性化計画で、森林資源を切って使い、再び植えて育てる循環型林業の実現を目指すとし、木材生産基地となる団地の形成や、原木の安定供給、木材製品の販路拡大などを推進しておられます。先ごろ成立した国の補正予算にも、細田自民党幹事長、竹下財務副大臣、青木自民党島根県支部連合会長、全国森林環境税創設促進連盟の会長であった岩田前奥出雲町長、この島根の4人の方々の強い働きかけがあってこそ実現した、森林所有者や県の負担金を必要としない間伐や竹の伐採、作業道の開設などを目玉事業とする約2,500億円の大規模な事業が盛り込まれました。私は、これをうまく使うことによって、島根が目指す循環型林業への取り組みが進むのではないかと考えます。  そこで、循環型林業の実現に向けて、国の補正予算による事業の活用を含め、どのような取り組みを推進されるのか、知事に伺います。  県はこれまで、外国産材で製造されていた合板に県産杉材を利用するため、技術と資金の両面から製品開発を積極的に支援し、さらに木材の安定供給組織の設立と合板工場との出荷協定締結に、西部、東部で精力的に取り組まれました。また、難しい県外、海外の販路開拓でも木材生産業者をリードし、当初は中国向けであった輸出が、今では浜田港から韓国、台湾、ベトナムなどへ輸出されておりますし、流通コストのハンディがあった隠岐から佐賀県伊万里市への出荷も実現されました。こうした取り組みもあって、平成20年の木材生産量は、全国では前年と同程度でありましたが、島根は前年を14%上回っております。  東南アジアやロシアなどの木材輸出国では森林資源が減少し、資源保護のためにロシアが木材の輸出関税を引き上げる動きがあることなどから、国産木材の供給にはますます期待が高まっております。これから杉やヒノキの人工林が国内各地で一斉に生産の時期を迎えることを考えますと、私は、木材を低コストで安定的に生産する体制をつくることは当然でありますが、県内だけではなく県外の需要にも目を向け、他県に負けないように、質の高い競争力のある木材製品づくりや戦略的な販路開拓などの取り組みをより一層強化する必要があると考えます。  そこで、今回の補正予算を含めて、木材加工と木材製品の出荷の分野で具体的にどのような取り組みを実施されるのか、伺います。  さて、ことし1月9日からの降雪により、県東部を中心に道路や河川、公共施設などの周辺で幹折れ、倒木などが広範囲に発生しました。また、最近では、放置した竹が侵食したために人工林の成長が阻害されたり、松くい虫やナラ枯れの被害により森林の機能低下や荒廃が懸念されています。このような森林では、木材を売っても収入が期待できず、したがって森林所有者の力だけでは森林の再生が進まないことが想定されます。  国土を保全し、きれいでおいしい水や空気を供給する森林は国民共通の財産であり、こうした森林機能が21世紀に入ってますます重要になっていることを考えれば、気象災害や森林病害虫の被害を受けた森林などの再生には国や県の支援策が必要であると思います。県は、こうした荒れた森林のケアや再生のために当面どのような取り組みを実施するのか、伺います。  次に、林業労働力の確保についてであります。  長い森林の不振で、森林所有者の経営意欲は著しく低下し、林業の事業規模も縮小しました。このため、森林組合は広域合併や経営の合理化に取り組み、15年前には約1,500人いた林業の正規雇用は、現在600人程度となっております。今後の経済対策による森林整備などを着実に実施していこうとすれば、林業の中核組織である森林組合が事業量の増大にうまく対応することが重要と考えます。また、厳しい経済情勢で失業された方を林業で雇用することについて、地域を回っておりますと、期待する声が大きくなっていると感じております。  このような状況で、現在県は林業労働力確保のためにどのような支援を実施しておられますか。また、県内の森林組合において、実際に労働力確保や円滑な事業実施のためにどのような取り組みが行われているのか、伺います。  最後に、ドクターヘリの導入についてであります。  島根県、とりわけ県西部や隠岐地域では、昨今、医師不足が深刻化し、救急医療や周産期医療などの医療機能の低下が懸念されております。病院が単独で圏域の医療を支えていくことが難しい状況となっているため、それぞれの医療機関が連携しながら、地域の医療機能の維持に苦労しているのが実態であります。それに加え、島根県は離島や交通の便の悪い中山間地域を多く抱え、高齢化率が高く、交通弱者も多いため、今後、広域にわたる医療連携の重要性が一層高まっていくものであると考えております。  本県では現在、防災ヘリなどを利用し、隠岐地域を中心として年間約100件の救急患者搬送が行われております。その有効性は十分評価されるべきものであり、広域的な医療機関連携の機会が増加していく中、ヘリコプターを使った患者搬送の必要性がますますふえていくのではないかと考えております。  一方、ドクターヘリが全国的にも脚光を浴びております。ドクターヘリは、ヘリコプターに搭乗する医師が現場で救急医療を行うために医療機械を装備した救急医療専用ヘリコプターであります。このドクターヘリが導入されることになれば、医師による現場での迅速な救命措置が可能になり、救命率の向上につながっていきます。また、現場での救急医療に加え、現在は防災ヘリで対応している救急患者搬送や高次医療機関へのいわゆる転院搬送にも有効に活用が期待されるのでないかと考えております。  ドクターヘリ導入において課題となる年間約1億7,000万円かかるとされる運行経費については、財政支援が拡充され、従来から措置されていた2分の1の補助金に加え、翌年度から4分の1の特別交付税も措置されると聞いております。こうした中、鳥取県と兵庫県、京都府との共同運行が計画されたり、山口県でも導入が予定されるなど、近隣の府県においても導入の動きが見られます。  そこで、伺います。  ドクターヘリの全国的な導入実績とその利用実態はどうなっているのでしょうか。  さて、近年、邑智病院において外科医師が不在の問題が生じました。当面は、病院内の医師が相互にカバーし合って、地域医療に支障が生じないよう精いっぱい努力されるようであります。今や地域医療において、このような事態がいつ生じるかわからない状況であります。  こうした中で、例えば医療スタッフの派遣にヘリコプターを使えば、派遣される医師の負担が軽減され、地域医療を支援する病院にとっては効率的な派遣が可能となり、医師不足に悩まされている医療機関にとっても医師派遣が受けやすくなるのではないかと考えます。このような利用方法は、島根県の医療ニーズにマッチしたヘリコプターの有効な活用の一つであると思います。  以上、述べてまいりましたように、地域医療を確保する上で、ドクターヘリを導入し、それを多目的に活用することは非常に有効ではないかと考えます。現在の本県の医療情勢がさらに厳しさを増すことを考えますと、今まさにドクターヘリの導入を前提とした検討を行うべき時期に来ていると思いますが、今後どのように対応していくのか、知事の所見をお伺いいたします。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 洲浜議員の御質問にお答え申し上げます。  最初は、数次の経済対策、政府・与党の経済対策に対しましてどのように見ておるかという御質問でございます。  私は、このたびのこの未曾有の経済危機に際しまして、昨年の秋以降4次にわたり、政治主導により一連の経済対策が迅速かつ大胆に打ち出されてると見ております。それから、この対策の中身も、民間需要が減退しておるわけですから、それを公的な部門で補てんをしていくと、そのために大規模な財政出動により需要を創出するということが行われておるわけであります。この財政出動についてはいろんな議論がございますが、私は今回のような世界的な経済危機のような局面においては必要かつやむを得ない政策だというふうに考えております。米国、欧州、あるいは中国など新興国におきましても、同様な大規模な財政出動によって有効需要の創出に当たって、不況の深刻化を防ごうとしておるわけであります。  それから、内容面におきましても、政策総動員ということが言われますが、まさにいろんな方法で需要の創出を行おうとしてるというふうに見ております。例えば緊急雇用対策でありますとか、あるいはやや長いふるさと雇用対策でありますとか、直接雇用を創出をするということ、そういうことが行われておりますが、さらに環境対策でありますとか少子化など、日本が中期的に取り組んでいかなければならない課題に対しまして歳出を増額するということをやっておりますし、医療、介護、福祉、教育など国民生活の安定充実のために必要な歳出をこの際ふやすということをやっております。また、インフラの整備など重要な課題に対しましても資金が投入をされてるというふうに見ておるわけでございます。  また、今回の対策におきましては、経済の停滞が長く続くということもあり得ますし、またいろんな対策を計画的、弾力的、継続的にやっていく必要があるということで、基金の積み立てを行うということが各般の措置においてとられておるわけでございまして、これは一定の合理性を持った政策だというふうに考えております。  それから、地方に対しましては十分配慮された対策を講じておられるというふうに評価しております。一連の対策の中で、地方交付税の増額でありますとか地域活性化に向けての交付金でありますとか、地方に配慮した政策や財源配分が行われておるということでございます。これは財政力の弱い地方には大変ありがたいわけでございまして、こういう政府の対応がなければ、県も2月補正、本年度当初予算、あるいは今御審議いただいております6月補正といったような経済対策を打つことは非常に困難であったというふうに思っておるところでございます。近年、都市と地方部の格差が拡大する傾向にありましたけども、ここ1年、地方からの要望などにも配慮して、地方を重視する、配慮する政策が政府・与党におきましてとられてきておるわけでございまして、こうした地方重視の対応を私どもは評価をしておるところであります。  次に、林業についての御質問でございます。  循環型林業の実現についてどう考えるかという質問でありますが、御指摘のように、木を切って使って植えて育てるという循環をする林業ということは、森林が8割近くを占める島根県にとっては大変大事な課題だというふうに考えております。御指摘のように、県では昨年3月に策定をいたしました新たな農林水産業・農山漁村活性化計画に基づきまして、木材生産コストの軽減を図るための木材生産団地化の推進や、合板工場への原木安定供給の仕組みづくりなどに取り組んできておるわけであります。  今般の補正予算では、御指摘がありました国の対策を活用しまして、循環型林業の位置づけに向けまして、3年間で28億円の予算措置を講ずることとしておるわけでございます。具体的には、森林所有者や県の負担を伴わずに行われる間伐と作業道の整備にあわせまして高性能の林業機械の導入を図る、さらに木材の乾燥施設や加工施設の整備により、質の高い製品供給を図る、さらに学校、福祉施設、保育所、駅舎等、公共施設の建設が木造で行われる場合に対しましてはこれを国も支援をするということになっていますが、そういう制度を活用するということにしております。  県自身といたしましては、県産木材を使用した住宅への助成事業につきまして、今回の補正予算で住宅あるいは商店等で木を使った模様がえ等を行う場合にも支援の対象とするということを行い、県産材の利用促進を図っておりますし、それから県が発注する警察の交番でありますとか駐在所、あるいは高等学校、県営住宅等の建設につきましても県産木材を使用するように関係部局に指示をしてるとこであります。このような木材の生産、流通、加工、消費の各段階における取り組みによりまして、循環型林業の実現を目指そうとしているとこであります。  最後に、ドクターヘリの導入につきまして御質問がございました。  一般論として申し上げますと、東西に細長く、離島や中山間地域を抱え、かつ医師不足が深刻な島根県におきましては、患者や医師を短期間で搬送、移動できる点で、医療分野でのヘリコプターの活用は有効であります。島根県では以前から、隠岐からの緊急搬送を中心に防災ヘリを活用してきておるわけでございます。  一方、国はドクターヘリというのを進めております。このドクターヘリは、救命医療を、御指摘にありましたけれども、救命医療を行うための医療機器を装備をして、場合によっては機内で救急の手当てをするとかといったようなことで、お医者さんも乗り看護婦さんも乗って患者さんを搬送するといったようなヘリでございますけども、その場合には、搭乗する医師のスタッフの確保等が一つの課題になるわけでございます。いずれにしましても、ヘリの活用ということは島根県にとって検討すべき大きな課題だと考えておるところであります。  医師不足を始めといたしまして、地域医療を取り巻く情勢がより深刻さを増しておるわけでありまして、今般、国におきまして、医師等の確保対策などの取り組みを助成をする予算措置が、地域医療再生対策ということで、国の補正予算の中に盛り込まれておるわけでございます。私どもとしては、国のこうした措置を活用するということも念頭に置きまして、島根県の実情に合ったヘリコプターの導入に向け、関係者による検討組織を立ち上げまして、今年度中に一定の報告を出すようにしたいというふうに考えているところであります。 5: ◯議長田原正居) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 6: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 私から、ドクターヘリの全国的な導入実績と利用実態についてお答えをいたします。  全国の導入実績は、平成20年度末時点で16道府県、18機となっております。なお、千葉県と静岡県では2機導入をされております。  これら18機のうち、平成20年度において通年で運行された14機については、出動件数の実績を見ますと、最も多いのが千葉県北部の663件、少ないのが大阪府の62件となっております。  また、利用形態につきましては、都市部にあります埼玉県、それから千葉県北部、神奈川県、愛知県では約9割が現場での救命医療に出動しております。一方、離島を多く抱える長崎県では、ほぼ半数が救急患者搬送に使われております。各県の状況に応じた使われ方となっておるということでございます。以上でございます。 7: ◯議長田原正居) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 8: ◯農林水産部長石垣英司) 洲浜議員より、森林、林業に関連いたしまして3点ほど御質問をいただきました。  まず、第1点目でございますけれども、木材加工と木材製品の出荷分野での具体的な取り組みのお尋ねでございます。  木材の加工の分野におきましては、工場で木材の寸法を正確にはかり、現場へ持っていって組み立てができる段階まで加工を行う、いわゆるプレカット加工、これが進展しております。あるいは集成材が普及しております。こういった形で、材全般的に、住宅分野におきましてはより性能、品質が安定したものになっております。したがいまして、これ以外の柱ですとかはりといった構造材につきましても、施工された後、建築された後に狂いが少ない、いわゆる人工乾燥材へのニーズが高まっている状況にあります。  島根県におきまして、製材品に占めます人工乾燥材の割合でございますが、これは上昇傾向にもちろんあるわけでありますけれども、平成18年におきましては20%と、全国平均25%と比べますと低い水準にあります。今後、島根県におきまして、杉などを利用した県産木材製品の利用拡大を図っていくためには、こうした人工乾燥がされた質の高い木材製品を安定的に供給することが必要であります。  したがいまして、今回、国の経済対策により補正予算に計上されております森林整備加速化・林業再生事業を活用いたしまして、木材乾燥施設、製材加工機械等の整備を進めることとしたいと考えております。あわせまして、県の単独事業であります農林水産振興がんばる地域応援総合事業によりまして、こうした品質管理の高さのあらわれであります人工乾燥JAS、日本農林業規格でございますけれども、こちらの認定工場となるための木材乾燥士の資格取得に対しましても支援していくこととしております。  また、県産木材製品の県外需要の拡大につきましては、昨年に続きまして東京ビッグサイトで開催されます日本国内でも最大規模の住宅建築関連展示会でありますジャパンホームショーへの出店、商談の展開を支援いたしますとともに、今年度の補正予算におきまして、新たに県単独事業として、大阪木材相互市場等での展示、PR、販売活動を支援することを予定しております。こうしたことを通じまして、品質の高い島根県産材の取引につなげてまいりたい、かように考えております。  第2点目、森林再生対策についてでございます。  県内各地の森林においては、林業の採算性の悪化に伴いまして、所有者の施業意欲の低下などもあり、杉やヒノキといった人工林への竹林の侵入や、あるいは松くい虫やナラ枯れ被害林等が放置されたことによりまして、森林機能の低下、さらには荒廃、こういったことが心配されている状況にあります。そのため、国の経済対策に呼応いたしまして、今年度から23年度までの3年間にわたりまして、先ほど申しましたように森林整備加速化・林業再生事業のメニューにも含まれているところでありますけれども、森林所有者に経費の負担を求めない定額助成方式によりまして、人工林に侵入している竹林の伐採、あるいは病害虫等により枯れて傷ついて用をなさなくなった樹木を伐採し、かわって有用な樹種の育成を促したり、あるいは広葉樹の植栽をするといった対策を進めてまいります。  また、議員御質問にもありました本年1月9日からの雪による被害についてでございますが、出雲市、雲南市ほか5つの市や町の造林地において、倒木、幹折れの被害が約180ヘクタール発生しておりまして、被害額は約2億6,000万円と推定されるところでございます。こういった雪害によって森林内に放置されております倒木等が、今の梅雨どきあるいは台風の時期の集中豪雨などによりまして人家などへ流出するなど、二次災害が発生する懸念があります。こうした二次災害の発生を防止するために、県と市町村が協調いたしまして倒木等の処理経費を助成する緊急措置を講じることとし、被害が甚大な出雲市、雲南市、飯南町につきましては既に復旧作業に着手しているところでございます。  最後、3点目でございます。林業労働力の確保についてでございます。  林業労働力の確保については、基幹的な担い手を育成していく、これはもちろん重要なことでありますけれども、今般の緊急的な雇用対策あるいは経済対策等によりまして事業量が増大しておる、これに対応するためにも、臨時雇用も含めた機動的な労務配置が必要と考えております。  まず、基幹的な担い手の育成についてでありますけれども、島根県林業公社に林業労働力確保支援センター、これが設置されておりますけれども、この支援センターによります研修や、あるいは林業につく就業の準備のための林業就業促進資金の融通、さらには緑の担い手育成基金からの森林組合に対する新規就業者向け技術習得研修などへの助成を通じて人材の確保育成を進めてきているところでございます。これらの結果といたしまして、昨年度の本県における林業への新たな就業者数、新規就業者数は7年ぶりに100人台、106人となったところでございます。  また、森林組合におきましては、従来、森林組合みずからが行っておりました作業道整備の一部を建設業に発注したり、あるいは作業効率の向上のために高性能林業機械の導入をするなど、事業量の増大に対応して効率を上げるための取り組みなどが行われているところでございます。これに加えまして、土木業、建設業や製造業などから林業に就業したいと希望される方も受け入れられまして、臨時雇用によって労務対応が図られていると、進められているというふうにも聞いているところでございます。  今後は林業労働力確保支援センターや森林組合などのような林業事業体と密接に連携を図りながら、適切な労働力確保ができるように、指導や助言なども含めまして、今後県として取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。 9: ◯議長田原正居) 鳥屋土木部長。  〔鳥屋土木部長登壇〕 10: ◯土木部長鳥屋均) 公共事業の当初予算及び補正予算の執行方針についてお答えします。  県内の景気回復につなげるためには、公共事業の予算を切れ目なく執行することが重要と考え、前年度2月補正と今年度当初予算を執行しているところでございますが、今回の補正予算につきましても、予算成立後、速やかに執行できるよう、設計積算等の準備を進めているところであります。また、主要土木資材の県内産の使用と下請業者の県内企業採用の義務づけなどにより、これらの予算の効果が県内経済に幅広く影響が及ぶよう、引き続き受注の条件としてまいります。  さらに、低価格での落札は、工事の手抜き、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底などにつながりやすく、公共工事の品質の確保を疎外するおそれがあります。このため、価格だけの過度な入札競争とならない総合評価落札方式の一層の拡大にも取り組むこととしております。  次に、この10年間の県内における公共事業費の推移や、県発注工事の受注実績などについてお答えします。  民間の保証会社の調査によりますと、県内の公共事業費は、平成10年度の4,100億円余をピークといたしまして、平成19年度では1,754億円、率にいたしまして42.7%まで下降していましたが、平成20年度は経済対策による公共事業予算の拡大が図られたことによりまして、1,836億円余と、11年ぶりに前年度を上回りました。  県内業者の受注実績につきましては、県発注の平成20年度工事では、総件数2,324件のうち97%、発注総額739億円余のうち78%となっております。国土交通省発注の平成19年度工事では、総件数338件のうち65%、発注総額624億円余のうち38%となっております。  また、平成14年度11月以来、県方針として、県内業者が施工できる工事につきましてはすべて県内業者に発注することとし、県内業者の受注機会の拡大を図っているところです。あわせて、県内企業の技術力が向上するような取り組みも行いまして、従来は県外の大手企業しか受注できなかったトンネル工事でも、現在では県内の企業が受注することが可能となっております。また、建設業界からさらなる受注機会拡大の要請を受けており、国土交通省発注の工事についても県の方針に合わせた取り組みを行っていただくよう、機会あるごとに要請しております。  次に、最低制限価格及び低入札調査基準価格の見直しについてお答えします。  先ほど申し上げましたように、過度な低価格での入札はさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあるので、適正な価格での受注が必要であると認識しております。このことから、県では適正価格での契約を推進するため、昨年9月に、最低制限価格及び低入札調査基準価格の算定方式につきまして、昭和57年以来約30年ぶりに根本的に改定し、価格の引き上げを図ったところです。  国においては、本年4月にさらなる見直しが行われたところですが、県としても低価格入札がもたらす弊害を憂慮しているところであり、最低制限価格の見直しなど、より適正な入札制度の構築に向けて、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 11: ◯議長田原正居) 中島議員。  〔中島謙二議員登壇、拍手〕 12: ◯中島謙二議員 自民党議員連盟の中島謙二でございます。  ただいまから一般質問を行いますので、知事を始め執行部の御答弁をよろしくお願いをいたします。  まず、高校生の学力向上対策について伺います。  現在、島根県内で、益田高校及び松江東高校の2校が文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール、略称SSHの指定を受け、独自の理数系授業が展開されております。SSHとは、将来の国際的な科学技術系人材を育てることをねらいとして、文部科学省が指定する高校等における理数系教育の充実を図る取り組みであり、学校ごとに大学や研究機関とも連携して魅力的なカリキュラムを開発し、生徒の科学への夢、科学を楽しむ心をはぐくみ、生徒の個性と能力を一層伸ばしていくことを目指すものであります。  生徒たちはカリキュラムの中で、宇宙飛行士の毛利衛氏などトップクラスの科学技術者と交流したり、独創的な研究課題に取り組んでその成果を発表したりといった体験を積み重ねており、その中から、今まで興味がなかった理数系学部を希望する子供たちが出てきたり、SSHでいい意味で場なれすることによって、卒業後の大学生活でも独自の視点を持って能動的に学ぶようになるなど、うれしい成果があらわれております。  ところで、今後、人口減少、少子高齢化のもとで、日本が世界の中で競争力を保ち、また環境問題、食料問題など山積する地球規模での課題解決に貢献するためには、大学等において現在のレベルよりさらに高度な知識、技術を習得することが必要になると言われております。そして、高校教育において求められるのは、大学等におけるそのような高度な学習に順応できる基礎的能力を養うことであります。したがって、SSHで培われる能動的に学習する力もその一つとして大切なものであり、今後とも力を注いでいただくよう望むものであります。しかし、もう一方で、やはりベーシックな学力をきちんと獲得をし、希望するスタートラインに立つことがまず重要であります。  そこで気になりましたのが、ことし大手予備校等2社が行った2009年度大学入試センター試験の平均点調査の結果であります。この調査によれば、島根県の受験生の5教科総合の平均点は900点満点中520.8点で全国46位、全国トップの東京との差は130点以上、全国平均と比較しても50点以上低いという結果でありました。教科別では、国語が26位で全国平均を上回ったものの、その他の科目はすべて全国平均以下であります。このことは本年2月定例会の一般質問でも取り上げられ、このデータは必ずしも都道府県ごとの学力、成績をあらわすものではないことを伺ったところではありますが、私が懸念いたしますのは、全国46位という結果よりも、大学入試センター試験を受けた県内の子供たちは本当に志望した大学等に進学できたのか、やむなく浪人した生徒が相当数いるのではないかという点であります。  そこでまず、県におかれては、県内高校生の大学進学の状況について現在どのように把握され分析されているか、お聞かせください。  大切なことは、子供たちが希望を持って高校を巣立ち、本当に行きたい大学等に進学し、そしてよき人材として育っていくことであります。そのためにも、基礎的能力の向上に向け、さらなる取り組みが必要と思いますが、県としての対応策を伺います。
     次に、高津川水系河川整備計画についてであります。  高津川は、吉賀町田野原の湧水池を源流に、津和野町を潤し益田港に注ぐ、幹線流路延長81キロメートルの一級河川であり、その下流部約20キロメートルが国直轄管理区間であります。そして、一級河川としては日本で唯一、支流も含めダムがないという貴重な川であり、国土交通省の調査で、平成19年、20年と2年連続、清流日本一の評価を受けております。  また、その流域には緑豊かな自然と、その恵みを大切に守り暮らす人々が調和するすばらしい環境が残っておりますが、一方で、高津川流域では、100名を超える死者、行方不明者を出した昭和18年の洪水を始め幾たびの災害を受けてきた歴史があり、戦後最大の洪水となった昭和47年の豪雨でも堤防決壊により64戸の家屋が全半壊し、1,983戸が水につかるなど甚大な被害をこうむっております。さらに、近年は、平成19年8月の隠岐における集中豪雨のような、いわゆるゲリラ豪雨による災害が全国的に多発しており、今後においても我々の予測をはるかに超える局地的な豪雨が頻発する危険性があります。  しかし、国直轄管理区間である高津川の中下流域においては、堤防のない延長が全体の7%を占め、また、今ある堤防も築堤が昭和40年以前の古いものが多く、現に近年、漏水等の被害が発生しており、もし今また昭和47年のような洪水が発生した場合には堤防が決壊したり水があふれたりするおそれがあるため、高津川中下流域の住民はこうした実情を訴え、長年にわたり河川改修を要望してきたところであります。  こうした中、国土交通省浜田河川国道事務所が昨年7月に、向こう30年間の高津川水系の具体的な整備内容をまとめた高津川水系河川整備計画を策定いたしました。この計画では、今後30年間で、まず昭和47年の洪水に次ぐ昭和18年9月の洪水と同規模の洪水に耐えられる整備を行うこと、さらに益田地域の中枢機能を擁している益田市街地の区間については、おおむね100年に1回程度の確率で起こる洪水にも耐えられる河道の整備を行うことが盛り込まれております。また、その計画策定において地域住民の意見を取り入れ、自然に配慮したダムのない河川整備計画となっております。  私としては、この整備計画は、高津川流域の実態を踏まえた極めて妥当なものだと考えており、ぜひともこの計画に沿った整備が必要だと思いますが、知事はこの計画をどのように評価されているのか、見解をお聞かせください。  ところで、一級河川の権限移譲につきましては、昨年10月、国土交通省が、高津川については県への移管を打診したとの新聞報道がありましたが、これ以降、益田地域では、直ちに高津川が国から県へ移譲されるかのように受け取り、今後整備がおくれるのではないか、あるいは管理の水準が低下するのではないかなど、整備計画への期待が大きいだけに、不安を訴える声があります。  そこで、これまでの議会において、河川、道路の権限移譲に係る県の方針について説明を受けておりますが、再度、高津川の権限移譲について、知事の考え方をお聞かせください。  また、知事として、河川管理者である国に対し、みずから策定した計画について責任を持って予算を確保し、着実に実行されるよう強く要望することが必要と考えますが、知事のお考えを伺います。  続いて、水産業の担い手対策についてであります。  島根県の漁業は、魚価の低迷、資源状況の悪化等により、多くの漁業種類において年々経営状況が悪化し、就業者の高齢化が進んでおります。特に就業者の高齢化は著しく、本県の漁業就業人口に占める65歳以上の割合は平成15年の数字で42.9%と、全国平均33.3%を10ポイント近く上回っております。  また、小さな漁村では、そこに暮らす人々は一般に半農半漁の形態が多いと言われております。しかし、島根県では海と山に挟まれた狭隘な地形の集落も多く、そのような漁村集落では周辺に広い農地がないことから、漁業の傍ら土木作業に従事して生活する人も多いのが実態であります。しかし、高齢化により土木作業もできなくなり、漁業からも人が離れていき、中山間地域と同様に、既に限界集落に近い多くの集落は、遠からず消えようとする状況にあります。したがって、漁業の存続のためのみならず、漁村集落を維持するという観点からも、漁業の担い手づくりは急務となっております。  しかしながら、新規就業者が漁業技術を習得し、自立した経営が可能になるまでには、多くの経験と年数が必要であります。全国漁業就業者確保育成センターのホームページに、大田市の小型底びき網の漁師としてIターンされた方の体験談が掲載されておりますが、その当時受け入れ先となった漁協の参事の話の中に、海を知るだけで3年、風と波、どこに魚がいるかがわかるまでに3年など、独立して自分の船を持とうというところまで考えるなら7年から10年は覚悟しなさいと、漁師の厳しさを説明するくだりがありました。また、就業者と受け入れ側双方がこうした認識に立った上で、受け入れ側でも、就業条件に限らず、住居や定住補助のお世話から家族の相談事まで生活全般にわたる支援を行っていたことがうかがえました。無論、自立への道筋は、その土地の漁法や就業形態によっても異なってまいりますが、自立までの年数が、したがって一概に言えるものではありませんが、新規就業者の自立支援に当たってはある程度のスパンを念頭に、地域の実情に即し、弾力的に、かつ総合的な視点で行うことが肝要と考えます。  また、最初は単身で漁業の世界に飛び込んできた新規就業者も、いずれ家庭を持ち、子供を養育するようになります。就業者が将来にわたり家族とともに地域に定着し生活していくためには、やはり将来にわたり安定的な収入の確保が不可欠であります。  現在、島根県では、隠岐のまき網やイワガキ養殖、出雲部の定置網、浜田漁港を基地とした沖合底びき網、益田地域の一本釣り漁など、地域によりまことに多彩な漁業が営まれております。特に沿岸漁業においては、浜により、季節により、魚種により、それぞれ違うわざと知恵があり、さらに多彩であります。  私は、今後とも浦々に特色ある漁業を育てていくべきと考えておりますが、担い手が家族とともにその土地で暮らしていくためにも、地域ごとの特色を反映した収益性の高い漁業の構築が急がれます。そのため、県におかれては、水産業の安定的な発展を目指し、平成20年3月に新たな農林水産業・農山漁村活性化計画において担い手の確保・育成プロジェクトを策定されたところですが、具体的にどのような取り組みや支援が行われているのか、伺います。  続いて、口腔保健推進条例についてであります。  歯の健康と全身の健康との関連については、これまでの定例会でも何度か取り上げさせていただいたところでございますが、今回は、昨年10月に日本歯科医師会から報告された歯の健康と医療費に関する研究の成果について若干御紹介させていただきます。  これは、山梨県歯科医師会と香川県歯科医師会等の研究成果をもとに、日本歯科医師会が歯科受診状況と医療費との関連等を調査研究したものであります。この研究による結果、香川県、山梨県において歯科を受診している65歳以上の入院患者の医療費データを全国平均に補正し、国民健康保険中央会による平成19年度の65歳以上の1件当たりの入院医療費と比較しますと、歯科を受診している入院患者の1件当たりの医療費が15.6%少なく、同様の比較を外来医療費について行いますと、歯科を受診している外来患者のほうが7.1%少なくなっております。したがって、歯科診療を受けている患者の医療費は受けていない患者に比べて少なくなることが、この研究結果により明らかにされております。  また、同じく香川県、山梨県の65歳以上の歯科受診者のデータから、年齢構成別、残存歯数別の構成比を算出し、残存歯数の構成比が5歳若返ったと仮定しますと、国民健康保険及び社会保険診療基金による医療費に調剤、食事療養等を加えた医療費全体の削減効果は、国全体で1,618億円となります。  この結果、先ほどの歯科受診効果も合わせまして、もし65歳以上で医科を受診している人すべてが歯科の診療も受けてきちっと口腔のメンテナンスを行い、歯が今より健康で、残存歯数の構成比率が5歳若返っているとしますと、何と年間1兆7,720億円の削減効果があると推計されております。これは、平成20年の厚生労働白書による平成17年度の国民医療費が33兆1,289億円でありますから、その5.3%に当たる数字であり、歯の健康を保つことは、間違いなく将来の医療費削減に大きく貢献するものと考えられますが、県は歯科診療と医療費の関係についてどのように考えられるのか、お聞かせください。  このように、歯や口の健康は健康長寿づくりに寄与し、将来の医療費抑制にも大きく貢献するものと考えられますが、その効果を発揮するためには長期的視点による対策が必要であり、また地域によって取り組みに格差が生じないよう、市町村等においても責務と役割を担っていく必要があります。そのため、新潟県では全国に先駆けて平成20年7月に新潟県歯科保健推進条例を制定し、県や市町村、教育関係者、保健医療福祉関係者及び県民の責務や役割を明らかにされたところであります。さらに、北海道でも今月16日に北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例が議決されたと聞いております。また、現在、国会においても口腔保健法の制定に向けた動きがあると聞いております。  島根県におかれても、口腔保健対策については、平成10年度に8020推進10カ年構想を策定され、現在はこれに見直しを加えた10カ年構想後期5カ年計画に基づき、県民がみずから行うセルフケア、歯科医院で行われるプロフェッショナルケア、行政が行う保健指導などのパブリックケアが連携し、切れ目のない対策に積極的に取り組まれているところでありますが、今後将来にわたり8020推進の取り組みをさらに発展させ定着させていくためには、新潟県や北海道に見られるような口腔保健推進条例の制定が必要であると考えております。  このように口腔保健の取り組みが拡大する中、今後、国や他県の動向を注視する必要はありますが、がん対策におけると同様、口腔保健においても島根県の先進性を示していただきたいと思いますが、県はどのようにお考えでしょうか。  最後に、がん対策についてであります。  平成17年6月に、癌と共に生きる会の会長であった出雲市の佐藤均さんが亡くなられてから、丸4年になります。そして、佐藤さんが心血を注がれたがん対策基本法が制定されてから、6月23日でちょうど3年目を迎えております。  この間、国のがん対策推進計画策定を受けて、現在までに46都道府県でがん対策推進計画が策定され、全国においてがん対策の充実に向けた取り組みが進んでおります。本県においては、平成19年9月に、全国初のがん対策条例であります島根県がん対策推進条例が制定され、平成20年3月には、この条例の趣旨を反映した島根県がん対策推進計画が策定されて、がん予防や緩和ケアの推進、がん患者や家族への支援などの対策が本格的にスタートしたところであります。  そして、昨年5月、医療政策に関するシンクタンクである日本医療政策機構が都道府県のがん対策推進計画を独自に採点した結果、島根県が2位以下を大きく引き離して全国一の高得点を獲得いたしました。このことは既に昨年11月定例会の一問一答質問で佐々木議員が取り上げられ、この答弁の中で、計画作成段階からがん患者の方々と意見交換を行い、実情を踏まえて具体的な目標数値を設定したことなどが評価されたものとお聞きをいたしました。  ところが、今月、国立保健医療科学院の研究者を中心とした独自の研究で、各都道府県のがん対策推進計画を独自に採点をして偏差値を算出したところ、都道府県によりその内容や質にばらつきがあり、しかも最下位は島根県であったという新聞報道を目にいたしました。ランキングというものはとかくひとり歩きしがちなものであり、とりわけ、さきの日本医療政策機構による高評価でがん対策先進県と認識されながら、一転最下位という評価が発表されますと、落差が激しいだけに、さきの評価は何だったのかと受けとめられ、過大評価であったとの誤解が生じる可能性があります。  この国立保健医療科学院の研究者等による今回の評価は、評価対象となった項目が計画書そのものに直接記載されているかがポイントとなっているように見受けられます。例えば、島根県で既に取り組まれているたばこ対策を始めとするがん予防対策や、把握されているがん診療連携拠点病院の整備状況など、医療資源の現状や計画ががん対策推進計画書そのものに記載されていないことで点数が大きく落ちるなど、やや表面的な評価になっているのではないかと見ております。  一方、昨年の高評価は、全国2位にあるがん死亡率を減らしたいという県民の願いに対してどのような決意で取り組んでいくのかという取り組み姿勢が高く評価されたものであると見ていますが、執行部は2つの評価についてどのように考えているのか、お聞かせください。  さて、島根県がん対策推進条例が誕生して以降、がん対策については県内の機運は盛り上がりを見せており、条例制定の翌年には我々がん対策推進議員連盟も働きかけを行い、高度医療機器の整備のため、難病研究所にがん対策募金が設けられましたが、民間事業者の発案によるバナナ募金などの心強い協力を得て、現在までに3億3,000万円を超える寄附が寄せられております。また、患者と家族への支援を目的に県内に開設されたがんサロンは、条例制定当時の9カ所から22カ所にまで拡大して、患者団体のネットワークも活発化し、がんサロン先進県と言われるまでになったと伺っております。さらには、平成19年2月には出雲市で出雲市がん撲滅対策推進条例が制定されるなど、市町村による独自の取り組みも見られるようになっております。また、このたびの6月補正予算においても、浜田医療センターへのPET-CT整備や第1回全国がんサロン交流会への支援等に積極的に取り組まれることとされており、今後、がん医療水準の向上や患者への支援がさらに前進することを期待するものであります。  しかしながら、このような成果の一方で、いま一つ立ちおくれておりますのが、がんの予防対策、とりわけ条例にもうたわれておりますがん検診の受診率の向上対策であります。平成19年度に市町村が実施したがん検診について見ますと、本県の受診率は、胃がんなど5大がんと言われるがんすべてにおいて全国平均より低いという結果となっております。一方、お隣の鳥取県では、5大がんすべてにおいて受診率が全国平均を上回り、しかも、例えば胃がんの全国平均11.8%に対し本県は5.5%、鳥取は26.8%と大きく差が開いております。受診率については、対象者数のとらえ方などが統一されてないため、必ずしも正確な実態をあらわすものではないと言われておりますが、これだけの差を看過することはできないのではないでしょうか。  そこでまず、県内市町村におけるがん検診の受診率や、その向上に向けた取り組みの現状をどのように認識され、その原因をどのように分析されているのか、伺います。  あわせて、がん検診の受診率向上について、これまでに県としてどのような取り組みが行われてきたのか、お聞かせください。  なお、聞くところによりますと、鳥取県では多くの市町村が、対象となる住民に直接はがきを送って受診を呼びかけており、さらに全市町村で休日がん検診が可能になるよう、今年度から、市町村が休日に検診車を使う場合に休日割り増し費用の一部を県が負担するとのことであります。また、山口県では今年度、休日、平日夜間の検診をする医療機関に対し、乳がんの1次検診など一部のがん検診について、休日出勤や残業をする医師、看護師らの時間外手当を補助する方針であると報道されております。本県においても、受診率をさらに押し上げるためには、市町村への呼びかけはもちろんのこと、他県に劣ることのない受診への強い誘導策が必要と考えます。  そこで、県におかれましては、今後市町村が行う受診対象者への積極的なPRや、受診の利便性を高めるための取り組みに対し、支援を行うお考えはないか、また受診者の負担を軽減するため何らかの支援措置を行うお考えはないか、伺います。  また、条例制定以降、患者団体と企業がタイアップして乳がん検診を呼びかけるキャンペーンを行ったり、企業が自社の新聞折り込みチラシにがん検診を呼びかける記事を掲載するといった動きが見られるようになったと伺っております。こうした動きをさらに広げ、県民を挙げてのムーブメントに発展させることによって啓発効果を高めていく取り組みも必要と考えますが、県としてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。  このように、島根県がん対策推進条例制定以降2年半にわたり官民挙げてさまざまな対策に取り組み、成果も上がってきたところですが、受診率につきましては全国的な位置づけはまだまだ低く、さらに向上を図っていくためには、先ほど申しましたような対策を含め、あらゆる方面からの取り組みが必要になってくるものと思っております。  そこで、今後は県民全体が参加してこの問題に取り組むべく、受診率向上に向けた県民運動としてさらなる機運の盛り上げを図っていくことが必要と考えますが、これにつきまして、知事の所見を伺います。  冒頭に申し上げました佐藤均さんは、この苦しい思いをほかの方や身内にもう二度とさせたくないと、日本のがん医療のおくれを取り戻すべく、病を押して活動を続けられましたが、なぜ患者がそこまでするのかという問いに対し、次のように答えられています。随分多くのがん患者が困っている。だから、これはだれかがやらなければならない。大きな目標を動かすためには、多少の犠牲はどうしてもそこに発生するんです。  今日、もはやその大きな目標は、がん患者の方々だけのものではありません。我々はいま一度佐藤さんの志に思いをいたし、同じ目標に向けしっかりと、そして迅速に取り組んでいかなければなりません。既に成果があらわれ始めたものもございます。がん予防につきましても、一日も早く着実な成果があらわれますよう、県におかれましてもいま一歩踏み込んだ取り組みを要望し、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 13: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 14: ◯知事溝口善兵衛) 私からは、高津川水系の河川整備計画に関連した質問と、がん対策の関連についてお答えいたします。  高津川水系の河川整備計画は、御指摘のように昨年7月に国交省が地域住民の方々あるいは学識経験者、県、市を初めとした関係機関の意見を聞きながら策定されたものであります。洪水被害から住民の生命、財産を守る治水対策はもとより、清流高津川の豊かな自然の環境や美しい河川景観に配慮した計画になっていると考えております。県としましても、国においてはこの整備計画に基づきまして一層の整備促進を図っていただきたいと考えているところであります。  次に、今、国において進められております地方分権に関連しまして、事務事業が地方に移譲されるということが進んでるわけであります。そういう中で、各省に、国に移譲すべき事務事業はどんなものがあるかという検討が進められ、その中で国交省は昨年、河川につきましては大体県内で水源から河口までが完結する河川については地方に移譲しましょうという考えで、そういう中に高津川も入っておったと、こういうことでありますね。ほかにも幾つかあるわけです。  知事会でも議論になりまして、私はこの問題につきましては、道路と似たようなことなんですけども、整備が一定の直轄事業を前提にして財源の手当てがなされながら行われてきたけども、あるときその分を地方に突如移管するといっても、特に整備計画ができてないとか、まだ整備が進んでないようなところをすぐに移管されても、これは県も大変難しい状況になりますから、やはりある程度国でそういう整備計画をつくってるところはかなり整備を進め、あるいは整備計画ができてないとこは整備計画をつくって、ある程度一定水準まで整備を進めてから地方に移譲するのが合理的ではないかという主張を知事会なんかでいたしまして、大体知事会としてはそういう方向で行こうということになり、国交省にも、ほかの事業もそうですけども、事務事業の移管に関して知事会などの意見を調整をしていまして、現段階では国交省もそういう考えで臨みたいということになっておると思います。したがいまして、高津川に限らず、そうした問題につきましては地方からそういう対応をしておりますから、具体的に高津川につきましても早く整備を進めていくと、そうすれば地方に移譲する時期も早くなるということであります。  いずれにしましても、河川の改修というのは巨額な金がかかるわけであります。それから、技術とか要員も必要なわけであります。したがいまして、そういうものを手当てしながら地方に事務事業を移管するということを考えなければいけないわけでありますから、そういう方向に向かいまして、引き続き高津川につきましてもそういう観点から国に対して要望要請を行っていくという考えであります。  それから、がんの受診率についての御質問がありました。  御指摘がありましたように、島根県ががんの受診率が全国的にも低いということであります。このがんの検診というのは市町村が行ってるわけですね。医療というものは市町村が行う事業に、保険事業がそうでございますから、そういうことになっております。県は市町村が行う事業を相談を受けたり、あるいは国の指針に沿って、市町村を必要があれば指導していくという立場であります。  しかし、御指摘のように、いろいろな原因を見てみますと、市町村が行う受診の呼びかけ、はがきで行うとか、そういうことが必ずしも島根県の市町村で行われてないとか、あるいはもう一ついろいろ聞きますのは、やはり勤めてる人などは休んで受診に行くというのはなかなか難しいといった事情があるようでありますから、御指摘がありましたように休日受診が可能になるというようなこともほかの県などでは行われておるわけでありまして、そうした総合的な対応をしなきゃいかんわけであります。ただ、これ実施するのは市町村でありますから、市町村に対しまして我々もよく相談をしたり、具体的な対応につきましてはこの後部長のほうからお答えすると思いますけども、検討し、島根県全体でがんの受診、予防につながる受診を、受診率を高めるような努力を県としても行ってまいりたいと考えておるところであります。 15: ◯議長田原正居) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 16: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 私からは、口腔保健とがん対策についてお答えをいたします。  まず、歯科診療と医療費の関係に関する認識についてでございます。  先ほど議員から、日本歯科医師会の研究成果をお聞きをいたしました。県として歯科診療が医療費を抑制するというデータは持ち合わせておりませんけれども、一般論といたしましては、歯の健康を保つことが医療費の抑制につながるのではないかと考えております。  また、本県では平成19年度に、高齢者の残存歯数、残っている歯の数のことでございますけども、その残存歯数と歯科医療費の関係について分析を行っておりまして、その結果、歯科受診率の向上は残存歯数をふやすということや、定期的な受診や予防管理、早期治療のための受診者の増加がレセプト1件当たりの歯科医療費を抑制するという傾向が認められ、口腔の管理が重要であるということが再認識されたところでございます。  また次に、県における歯科保健の取り組みについてでございます。  島根県では、80歳で20本以上の歯を保とうという8020推進10カ年構想に基づきまして、虫歯予防、それから歯周疾患予防、口腔ケアの提供体制整備や人材育成などの推進基盤の強化を図っておるところでございまして、歯科保健の取り組みは重要であると認識をしております。  議員御指摘の口腔保健推進条例の制定につきましては、現在、国会で歯の健康の保持の推進に関する法律案の審議がされております。現時点では、こうした動きや他県の条例制定の状況等も踏まえる必要があると考えております。  続きまして、がん対策についてお答えをいたします。  まず、島根県がん対策推進計画の評価についてであります。  島根県のがん対策推進計画は、計画策定段階から患者さんに参画いただくとともに、患者団体さんや県民の皆様からいただいた、島根のがん医療はこうあってほしいという切実な思いを十分反映させたものでございます。昨年、日本医療政策機構からは、このような計画に込めた島根県のがん対策に対する取り組み姿勢を高く評価されたものと受けとめております。  一方、今回の国立保健医療科学院の研究者等による評価は、議員御指摘のとおりでありまして、やや表面的な分析であり、残念に思います。ただし、今回の評価で指摘された中には、島根県の取り組みのおくれから現計画に盛り込めなかったような項目もあります。例えば、効果的ながん予防対策を講じるために地域ごとのがんの発生状況などを把握する地域がん登録、放射線機器の整備計画及び5大がんの一つである肝がん対策等でございます。これらにつきましては、今年度、計画を見直しまして、適切な形で盛り込んでまいります。  次に、がん検診受診率の向上に向けた取り組みについてであります。  本県におきましては、市町村が実施するがん検診の受診率が全国と比較して全体的に低いことは認識しております。その主な要因としては、御指摘もございましたが、鳥取県も含め他県においては個別通知によりまして対象者に直接呼びかける方法が広く行われ、受診率が高くなっているのに対しまして、本県では個別通知を実施している市町村が一部にとどまっていることが影響しているのではないかと考えております。  これまで受診率向上については、実施主体でございます市町村の自主的な取り組みにゆだねる一方で、県としては、がんの見落としや誤診を減らすなど、検診の質の向上を図る取り組みを中心に進めてきておりました。そういう結果、市町村への働きかけや県民への啓発という面では必ずしも十分ではなかったと認識しております。  こうした中で、平成19年度に策定しました島根県がん対策推進計画を契機に、検診受診率向上を県の重要施策として位置づけまして、チラシやポスターの作成でありますとか、患者会や企業との連携による新たな手法の啓発活動を展開するなどの取り組みを強化しております。今後はさらにこれらの活動を発展させたいと考えております。  次に、市町村が行う検診の啓発や利便性を高める取り組みに対する支援についてでございます。  先ほど申し上げましたとおり、市町村が行う検診受診率を向上させるためには、対象者に直接呼びかけることが効果的であるとの考え方から、全市町村に対して、今回、緊急雇用創出事業を活用して、受診対象者に個別通知を行うことを働きかけたところでございます。  また、検診受診の利便性を高める取り組みについては、効果を上げておられる市町村の事例を参考に検討したいと考えております。例えば、益田市では昨年度、夕方に子宮がん検診を行われ、仕事帰りの若い世代が多く受診されております。また、松江市では今年度、休日に乳がん検診車による検診を実施されておりまして、定員の3倍を超える申し込みがあったと聞いております。特に都市部においては、このように休日や夜間に検診を実施するなど利便性を高めることで、受診率の向上が見込まれると考えております。  また、受診者の負担軽減につきましては、市町村が実施する各種がん検診の自己負担額は、平均をいたしまして170円から1,770円と低額でございまして、受診率に大きく影響するほどの負担になっているものとは考えておりませんが、今年度、女性特有のがん検診推進事業が国の補助事業として実施されます。これは、子宮頸がんと乳がんの節目年齢の対象者に検診手帳と無料クーポン券を配布して受診を促すというものでございます。今後はこの成果も見きわめた上で、有効な対策を検討してまいります。  次に、県民が中心となった啓発効果を高める取り組みについてでございます。  啓発効果を高めるためには、検診受診について、行政だけでなく県民も一緒になった大きな動きをつくることが大切でございます。島根県では、健康づくりを県民運動として進めるために、健康長寿しまね推進会議を設置をいたしまして、多くの関係団体の皆さんと連携して取り組んでおりますが、昨年度からがん検診の受診率向上を重点目標に掲げまして、さまざまな啓発活動に取り組んでおります。  その中で、新しい方法の一つとして取り組んでおりますのが、民間事業者や患者団体等と連携した官民協働による啓発活動でございます。昨年度、ある事業所さんにおきましては、県と協働され、新聞の折り込みチラシへのがん情報掲載や、店内での啓発コーナーの設置等の取り組みを行われておりまして、行政施策だけでアプローチできなかった若い世代に情報提供ができるなど、効果を上げたところであります。今年度はこのような事業所をがん検診啓発協力事業として登録する制度を設けたところでございまして、多くの事業所に登録していただいて、行政とともに啓発活動を取り組んでもらいたいと考えております。以上でございます。 17: ◯議長田原正居) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 18: ◯農林水産部長石垣英司) 私からは、漁業の担い手対策についてお答え申し上げます。  漁業の担い手を確保育成するためには、新たに漁業への就業を希望する人をまず募り、一たんその希望された方が就業した暁には、その後、自立した経営が可能となるまでの支援体制を充実するとともに、漁業者としてやっていけるだけの一定水準の収益を確保するための魅力ある漁業経営の確立が必要であります。このため、新たな農林水産業・農山漁村活性化計画におきまして、担い手の確保・育成プロジェクトを実施しているところであります。  具体的な内容でございますが、まず漁業協同組合が行う求人活動、相談窓口の設置、あるいは求人求職情報の提供など、さらには一本釣りなどのような漁業技術を習得向上させるための研修事業、こういったものに対して支援を行っております。また、こういった研修が終了後に自立して漁業経営を開始しようとする担い手に対しましては、その経営の安定化を図るために、市町村を通じまして資金の貸し付けを行っているところであります。  この資金についてでございますが、平成21年度からは貸付枠を拡充いたしますとともに、貸付対象年齢、貸し付けが可能となる年齢でございます。これを50歳程度まで引き上げるという形で、より高い年齢の人も貸し付けの対象にするといった、こういった制度の充実を図ってきているところでございます。  さらに、浜田、隠岐の水産高校の生徒を対象といたしまして、地域との連携を図りながら漁業の魅力を理解してもらうためのまき網漁船等への乗船の体験といったような新たな取り組みも進めております。また、もう一点、魅力ある漁業経営、もう少しはっきり言いますと、もうかる漁業を実現するために、ベテラン漁業者を活用した高度な漁業技術の伝承あるいはイワガキの養殖、アジ等を対象といたします底建網のように地域の特性に合った漁業の普及、刺し網などのような複数の漁船漁業と養殖業などを組み合わせた形で周年一年間を通じた操業が可能となるような経営モデルの実現等にも、水産普及員の組織のネットワークも活用しながら取り組んできているところでございます。  今後ともこういった取り組みを、国の支援事業も活用しつつ、市町村、漁協、漁業関係者、普及員、水産技術センター、こういった関係する部門、関係する方々が連携を図りながら、意欲のある担い手の確保育成を進めてまいりたいと考えておるところでございます。 19: ◯議長田原正居) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 20: ◯教育長藤原義光) まず、今春の大学の進学状況についてお尋ねがありました。  県の教育委員会で調査した結果によりますと、今春、4年制と短期大学への進学者は、普通高校、専門高校、全高校卒業生の48.5%でありまして、過去4年の中でも最も高い率でありました。4年制の大学の入学者のうち、内訳でいいますと、国公立大学が先ほどの全卒業生の19.2%、これは横ばいであります。私立大学は19.1%であります。これは徐々に近年増加しておりまして、過去4年の中では最も高い値でありました。  また、現在、いわゆる浪人中で受験を目指している生徒は、全卒業生の約6%でありました。近年、浪人は減少傾向にあります。その理由としては、浪人による経済的負担を避ける傾向があるということと、全般に大学に、全体の定員からしますと大学に入りやすくなってきているということが言えると思っております。  次に、基礎的な能力の向上、学力向上対策についてであります。  平成18年度から島根学力向上プロジェクトを開始し、学力調査の分析結果に基づいて、小中学校の家庭学習の充実を第一番に掲げまして、強力に取り組んでおります。高校の学力向上対策は、こうした義務教育段階での学力養成を基盤に行うこととなります。  今年度より、高校の学力向上対策については、統括する調整官を高校教育課に置きまして、島根学力向上プロジェクトとして新たな事業に取り組みます。その第1として、県内の高校をつないで、これまで各学校が蓄積していたノウハウを共有いたしまして全体のレベルアップを目指す「チームしまね」進学対策事業という名前をつけまして展開をいたします。2番目に、5教科の各教科ごとに教員2名が教科のリーダーとしての力量をつけるべく、1年間の研修に取り組むことにいたします。3番目に、中学校と高校の学力向上対策につなげるために、中高連携ステップアップ事業と銘打ちまして、効果的な指導法をつくり出していこうと考えております。  8月には、全県から生徒を募り、夢実現進学チャレンジセミナーと銘打った勉強合宿を行います。合宿を通して県内の高校生同士が互いに学び合い、高め合ってくれることに期待しております。また、島根大学医学部による講義や実習によって、セミナーが医師確保対策としても有効なものになることにも期待を持っております。  ただいま申し上げましたことのほかに、専門高校やスーパーサイエンスハイスクール指定校で行われております研究発表によるプレゼンテーションの能力の養成、あるいは朝読書などの実施による言語能力を高める取り組みなど、基礎的能力の向上に向けた取り組みが各学校の工夫によって従来から行われております。これまでのこうした取り組みと新しい取り組みとが相まって、個々の生徒に応じた学力が養成されるよう、事業を推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 21: ◯議長田原正居) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時47分休憩        午後1時6分再開 22: ◯副議長上代義郎) それでは、会議を再開いたします。
     引き続いて一般質問を行います。  三島議員。  〔三島治議員登壇、拍手〕 23: ◯三島治議員 公明党の三島でございます。  通告に従って一般質問をさせていただきます。  質問に入る前に、先日急逝されました澄田前知事とは、3期12年、温厚なお人柄に包まれる中で一緒に仕事をさせていただきました。本当にお世話になり、感謝の思いでいっぱいであります。心より哀悼の意をあらわしたいと思います。  さて、質問の第1は、経済対策と6月補正予算についてであります。  最初に、成長力強化という視点についてであります。  国の過去最大規模2009年度補正予算を受け、県も6月補正としては過去最大となる454億円の補正予算を計上されました。2008年度第1次、第2次補正予算、2009年度本予算に続き、切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れを防ぐ一方、例えば環境分野で省エネ家電、エコカー、太陽光発電のエコ3本柱の普及促進策など、未来の成長力強化につながる施策にも重点を置いていると承知しております。  本県の6月補正に係る未来の成長力強化という視点での留意点と、今後どのような成果を想定しているのか、お尋ねいたします。  次に、スクール・ニューディール構想、特に学校建築の耐震化についてであります。  新年度予算とこのたびの補正予算では、学校建物の耐震化について特段の予算措置がなされ、文科省としてはIs値0.3未満の建物については今年度で完結するという方針と聞いております。しかし、本県においては、設計に係る技術関係者や判定委員会の量的問題もあり、文科省の方針との乖離があると聞いております。また、今年度を逃せば臨時交付金もなくなるわけですし、国庫補助枠の確保の見通しも不透明です。  県内の公立小中学校の耐震診断実施率、耐震化率についての状況と今年度の取り組み状況、Is値0.3未満の建物についての整備完了の見通しと、平成22年度までの時限立法である地震防災対策特別措置法の延長に向けての働きかけについてお尋ねをいたします。  次に、安心こども基金についてであります。  昨年度2次補正予算によって7億円が基金造成され、うち6億円が保育所緊急整備事業となっております。今回の補正予算では、新たに8.2億円の基金が積み増しされることとなっております。  保育所の待機児童は、3月1日時点では300人を優に超す人数であったと思います。加速度的に進む少子化にもかかわらず、保育所整備が新たな需要を生み出し、整備が追いつかないという現実がありますけれども、今年度の施設整備による待機児童解消への展望をお尋ねいたします。  施設整備は限られた事業費の枠内での対応となると思いますけれども、待機児童解消を第一義とした予算づけになるのか、確認をしておきます。  次に、自殺対策といのちの電話相談についてであります。  自殺者が11年連続で3万人を超え、あわせて現下の厳しい経済情勢の中で、自殺対策強化は喫緊の課題として、破格の自殺対策緊急強化基金が造成されました。本県での自殺対策は緒についたばかりでありますが、現在までの取り組みの成果と、現下の厳しい経済情勢下での傾向、今後どういうところに力点を置いて対策を進めるのか、お考えをお尋ねいたします。  さて、本県においても自殺対策では大変大きな役割を果たしてきたいのちの電話相談でありますが、その仕事の重みに耐え切れずにやめていく方が多く、養成が間に合わないと聞いております。その養成ですけれども、受講料自分持ち、1年半ほどの期間ほとんど毎週土曜日3時間程度の講習を松江市で受け、やっと活動に参加できるようになるとのことであります。その活動も全くの無償、本当に大変な中で活躍をいただいていると聞いております。こうした相談員の現状と確保について、県としての考え方をお聞かせください。  次に、消費者行政活性化基金についてであります。  近年、食品の産地偽装や有毒物の混入によって食の安全が脅かされる事態が発生し、家電や自動車など身近な製品の欠陥による死亡事故も続きました。さらに、悪徳商法による被害も後を絶たないなど、消費者問題は深刻化しております。そのため、消費者庁関連3法案が提案され、先月、全会一致で可決成立、消費者行政を一元的に実施する消費者庁の創設が決定しました。  そのような背景もあり、このたびの経済対策に係る補正予算に消費者行政活性化基金の積み増しが計上されております。基金が積み増しされた背景と課題として、ふえ続ける問題とニーズに合わせて相談体制の強化ということがあろうと思います。その相談体制の現状は、県民の要請にこたえ得る体制になっていないとの声もあるのでありますが、我が県及び市町村の窓口設置の現状をお尋ねするとともに、今後の相談体制について、県の認識と市町村の対応についてお尋ねいたします。  国が支援メニューとして掲げる中に、相談員の養成があります。この点については、行政として戦略的にというより、個人の思いによるところが強いのではないかと思います。相談員の養成に係る県の認識と支援の考え方をお尋ねいたします。  また、基金とは別に、相談員の処遇改善のための交付税措置もとられたと聞きます。ここも現場からの要請の強いところでありますけれども、考え方をお尋ねいたします。  質問の第2は、県内4年制大学についてであります。  先日出会った島根出身の東大生が、島根大学があることの社会的メリットは何かを一県民の立場で考えたことがある。それは、先端技術、科学、哲学などの構築は都市部の大学などが担うもので、地方の大学の役割は、まず地域の担う役割、重要性を探求し発信することではないかと話しておりました。  島根県は起業家が育ちにくい地域だとよく言われます。それは、地方交付税や公共事業に守られてきたことと無縁ではないと思います。県民がそうでしたから、そこに立地する大学もそんなぬるま湯体質の中にあったのではないかと思います。しかし、独立行政法人化を契機に、前述のような問題意識を含め、改革の動きが始まるとともに、産官学民の連携が進み出し、就職先として共同研究した企業へという流れも生まれております。  一方、県内の大学を卒業したクリエーティブな人材の県内定着という課題について、大学関係者や県の関係者と話すと、受け皿となる就職先がなくてという話になります。先日、川本でネット書店を運営する一橋大学の尾野君と、隠岐で和牛繁殖を手がける牧場で一緒になりました。彼は、県内の耕作放棄地に和牛を完全自然放牧し、さしではなく赤身肉を生産し、東京でステーキ店を展開させ、そこに供給しようと計画しております。その調査のために隠岐に来ていました。どこまでやるのかと、こういうふうに聞きましたら、耕作放棄地がなくなるまでと、こういうふうに平然と答えが返ってまいりました。  海士の山内町長は、地域を変えるのは若者、よそ者、ばか者とおっしゃっております。島根大学では7割、県立大学浜田キャンパスでは5割を超えるよそ者がいます。若者で見れば、それぞれ毎年1,500人、200人が入学し卒業しております。すごい財産がそこにあるわけであります。大学が地域問題解決のプラットホームとして機能し、その中でクリエーティブな力が活用されることによって、地域力向上のための産業創生が活発に興る、そんなイメージを思い描ける大学になるよう、県民を挙げて支援したいものだと思っております。  そんな前提を持って、県立大学浜田キャンパスについてお尋ねいたします。  1学部のみ、しかも歴史も浅い地方の大学でありながら、地方大学の学生ならびびりそうな名前の企業を始めとするすばらしい就職実績を誇り、それが高い人気を保つ背景のようであります。しかし一方では、せっかくの優位な人材を県外に流出させ、大組織、しかも学閥などの組織論理の中で埋没させるのはいかがかと、こういう意見も聞くのであります。シックスプロデュースの洲浜君とか里山レンジャーズなど、本当にユニークな取り組みもありますけれども、地域との連携に基づいたソーシャルビジネスなど、産業創生や起業家育成には課題もあるのではないかと思います。  産業創生を担う地域の大学という視点で、県立大学浜田キャンパスの石見を中心とした地域での位置づけ、今後の考え方と取り組みについてお尋ねいたします。  次に、島根大学の存立意義と島根県の役割についてであります。  松江市の松浦市長は、改選後初となる6月議会の所信表明で、島根大学生等をもっと町なかで活躍させ、学生の声があふれる活力ある町にしたいと述べております。私は、島根大学と包括協定を結ぶ松江市、島根県であり、もう一歩踏み込んで、産業創生を担う人づくりを地域一丸となって進めたいものだと思います。例えば、各種の計画等をコンサルにではなく大学と協働して策定するなど、県や市町村が大学や学生を活用することについて積極的にコミットしたり、地域課題解決のために地域の持つポテンシャルを洗い出し、産業創生に結びつけるような協働の取り組みをもっと積極的に進めるべきだと思います。  そのためには、人の配置を含めた行政の大学サポート機能の強化も重要な課題だと思います。島根大学の産業創生に果たす役割について、御所見をお尋ねいたします。  あわせて、文化の違う世界を結んで結果を出すためには、ネットワークの強化と人間関係の強化が不可欠であり、担当者によるところが大きいと思います。担当者の人事について、もう少し長い期間とすべきだと思いますが、見解をお尋ねいたします。  質問の第3は、貧困問題と、支え得る地域づくりについてであります。  リーマンショック以来顕著になった格差社会の現実、しかしそれ以前から我が国の、母子世帯や高齢女性の単身世帯等の貧困問題はありました。たまたまこのたびの経済危機で、勤労世代の男性が貧困に直面する状況で、貧困問題がマスコミ等で大きく取り上げられたのであります。  OECDが発表した子供の貧困率では、2000年で14.3%、23カ国中15番目、ワースト10に入っております。最も低いデンマークが3%、以下、北欧の国が続き、いずれも5%以下となっております。さらに、ひとり親家庭の貧困率は、同じOECDの調査で、働いていない場合が60%、働いている場合が58%となっており、さらに深刻であります。1位のスウェーデンでは18%と6%であります。  この問題は、PISAの学力調査の分析結果を見ても明らかなように、貧困家庭にあると想像される子供は学力においても振るわない現実がありますし、それは拡大再生産をする可能性が極めて高いと指摘されております。我が国が国際競争力を保ち、発展を遂げていくためのキーワードの一つが、子供の貧困問題をどう乗り越えるかであると考えます。  「子供の最貧国・日本」の著者に会いに行き、意見交換の機会を持ちました。ひとり親家庭の暮らしやすさ、都会と田舎とは違うのか、田舎はそんな親子を支える受け皿になり得るのか、貧困のほうが生きるばねになり得るのではないか、そんなことを聞きたいと思ったからであります。残念ながらその明確な回答を得ることはできませんでしたけれども、私はあると見たいのであります。  今、都市部には、働きたくても働き場のない人がたくさんおります。最近では若者が農業に興味を持ち、田舎に移っていく例もあり、私も何人もの方にお会いしております。フリーターやワーキングプア、心が壊れそうになっているIT関係者、そして今申しましたひとり親家庭を含めた田舎への移住と再生のプログラムはできないでしょうか。  私がある限界集落を訪ねたとき、子供とは家の存続についてお互いに話題にしないとおっしゃる方がありました。そのとおりだろうと思います。自分の子供に無理に移り住めと言っても、今の生活、家庭があり、また価値観も違うとなれば、なかなか難しい現実であります。  しかし、地域は限界に近づいております。家族のつながりでは無理であっても、ほかにそういう生き方を求める人、そんな生活で自分を見詰め直そうとする人、田舎のつながりの中でたとえ一人であっても子供を育て上げようとする人など、いろんな人がいらっしゃいます。ひとり親家庭には、限界集落にはほとんどいない子供が必ずいます。集落の高齢者には、子供の声は何よりのごちそう、元気のもととなるはずだと思います。フリーター、ワーキングプアの受け入れをしたいと考える集落もあります。システムエンジニアの再生プログラムを提供できないかと考えるIT企業もあります。  私は、少しでもチャンスがあるならば、まず進めることが大切ではないかと考えます。できないことを何とかできるように皆が知恵を絞り、行動に移す。そのうち、島根はとんでもないことをやっていると評判になれば、いろんな人が集まり、またその人たちが新たな人を呼び寄せる。その例は、県内にも海士町を始め幾つか見られるわけであります。行政は、どうしたらできるかより、できない理由を考えると聞いたことがありますけれども、どうすればこのような人たちを地域の担い手として活用できるのか、可能となるのかという視点で、真剣に考えるべきではないかと思います。  田舎のポテンシャルの高さと人柄のよさは、例えばひとり親家庭やワーキングプアなどを支える受け皿となり得ると考えますし、島根の都会松江であっても東京などとは比べ物にならないゆったりとした時間の流れは、せき立てられるように仕事をこなしてきたIT関連の人たちが人間性を取り戻しつつ新たなシステムの開発などに取り組む環境としては最高だと思います。  貧困問題を解決する方策は田舎にありと、全国に向かって発信ができないでしょうか。私は、それを担うのが田舎、地方の大きな役割であり、それが可能となれば、日本は大きく変われるのではないかと思っております。それは単なるセンチメンタルな憧憬なのでしょうか。  このような施策を推進するとしたら、整備すべき条件は何かを含め、知事の所見を伺います。  質問の第4は、子供のメディア対策についてであります。  ノーテレビ、ノーメディア運動を進める方と何度か意見交換をする中で、映像メディアが子供たちに与える影響は想像以上だと思いました。また、子供の脳の発達に与える仮想化社会の影響について、元小学校教師によって書かれた本の中には、子供の時間は大人の10倍とあり、思春期まではなるべく映像メディアとの接触は避けたほうがいいとの意見が記されておりました。我が家でも、テレビは1日1時間と決められている5歳ともうすぐ3歳になる孫ですけれども、テレビへのこだわりの強さを見ると、子供のうちはなるべく映像メディアには触れさせたくない、なるべく多くの生の体験、生の感動を与えたいものだと、このように思えてなりません。  そこで質問ですけれども、学校図書館への人の配置を行っていただき、図書館を活用した教育が進もうとする今、特に低中学年においては生の体験や本などの紙媒体を活用した教育へとシフトさせることも大切ではないかと思いますけれども、小学校での映像メディアの利用の実情についてお尋ねいたします。  また、映像メディア対応のメッセージを徹底して発すべきではないかと考えますけれども、思春期までは極力映像メディアへの接触は避けるべきという考え方とあわせ、所見をお尋ねいたします。  松江市では、ノーテレビ、ノーメディアデーも小中一貫の取り組みの中に位置づけられ、今年度はさらにその取り組みを強化させる方針だと聞きますし、県も大きな課題として取り組んでいただいております。さらに県下に広げたい運動だと思いますけれども、かぎを握る親御さんへの啓発と、ノーテレビ、ノーメディアデーの取り組みを広げることについて、考え方をお尋ねいたします。  小中学生に携帯電話を持たせない保護者の努力義務を盛り込んだ全国初の条例が石川県で提案されたとのことであります。条例での規定の是非はともかく、フィルタリングサービスなどの取り組みが始まったものの、携帯に係る問題の深刻さが突き動かした結果ではないかと思います。  我が県でも、子供の性の商品化やネットいじめなどの構造は都会と一緒だと聞きます。所持の抑制よりも、メディア教育をしっかり進めることが先決ではないかと思います。県の取り組みについてお尋ねいたします。  質問の第5は、学校図書館と司書を取り巻く現状についてであります。  知事の決断と教育委員会の御奮闘で、学校現場への人の配置が順調に進んでおります。新年度になって、まだ松江市内の学校だけですけれども、4校ほどお邪魔し、実情を見てまいりました。私の感じた現場の意識はまちまちで、いずこもこれからというところであります。そして、それぞれにさまざまな問題を持ち、課題を持ち、悩みながら進めていくことになるだろうと思いますし、サポート体制を整えてあげたいものだと思いました。ここで特に心が痛んだのは、司書資格を持つ新卒の方が、この仕事がしたいと、年収100万円の司書Aとして働いていらっしゃる姿でした。  話が飛躍して恐縮ですけれども、県内の公共図書館の職員及び司書職の正規職員の割合は20%であります。正規の司書職というのは本当に狭き門なのであります。そこには、専門性を持った図書館長を自前では育てられない現実があり、図書館長は引く手あまたの職種になっております。それは、県民の知を支える公共図書館が単なる貸し本屋状態となり、県民の多様なニーズにこたえる存在になりにくい構造にあるということであろうと思います。学芸員の世界も一緒な構造と聞きます。  我が国が文化国家であろうとするならば、この構造は変えなくてはならない課題だと思いますけれども、知事の所見を伺います。  本題に戻ります。最初に、子ども読書活動推進事業により、県内の小中学校に学校司書等が配置されておりますけれども、現在の配置状況と学校の取り組み状況について伺います。  2つに、このたびの6月補正において、子供の読書活動推進事業を円滑に進めるための事業を新たに計画されておりますけれども、その事業の概要についてお尋ねいたします。  3つに、これらの事業を円滑に推進し、成果を上げるためには、配置された司書等や学校を強力に支援する体制を整える必要があります。2月議会の折に、教育長みずから司令塔となって取り組むとの決意が示されましたけれども、今年度どのように支援体制を整えられているのか、お尋ねいたします。  あわせて、来年度以降、学校図書館専任指導主事の配置について御検討いただくお考えがないのかについてもお聞かせください。  質問の最後は、盲導犬育成、貸与と利用者支援についてであります。  昨年10月、浜田市旭町にオープンした島根あさひ社会復帰促進センターでは、地域との共生をテーマにさまざまなユニークな取り組みが行われております。受刑者が盲導犬育成を手がけるという取り組みもその一つであろうと思います。この取り組みを契機に、盲導犬への理解と関心が深まっているのではないかと思います。  その盲導犬を利用する皆さんですけれども、人生の新たなパートナーを得ることになりますし、行動範囲が格段に広がり、安全性が飛躍的に高まるメリットがある一方、盲導犬のお世話や医療費等に係る負担もかなりなものになるようであります。ましてひとり暮らしの方もあるようでありますし、高齢化の問題もあるとのこと。盲導犬利用者がふえることは、視覚障害者のバリアフリー化とともに、健常者の心のバリアフリー化も進めることになると思います。そのためには、盲導犬利用のハードルを下げることも必要だと思います。  盲導犬利用者への支援の考え方と、本県の盲導犬育成、貸与事業の状況と利用の現状についてお尋ねして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 24: ◯副議長上代義郎) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 25: ◯知事溝口善兵衛) 三島議員の御質問にお答えをいたします。  最初は、国の今般の補正予算等で、太陽発電でありますとか省エネ対策でありますとか、未来の成長力強化に向けての施策もあるが、県の6月補正ではどうかというお話でございました。  この未来の成長力強化をどういうぐあいに把握するかというのは難しいわけでございますが、非常に単純に言いますと、当面の消費だけにお金を使うということじゃなくて、投資のようなものですね、将来に効果があらわれてくると。支出はしますけども、そういうものが将来の成長だとか経済の発展に役立つわけでありまして、そういうものは物的な投資もありますし、あるいは知識に対する投資とか、いろんなものがあり得るんじゃないかと思います。  県の補正予算では、例えば産業振興ということをやろうとしております。県内の物づくり企業の競争力を強化するための施策、あるいは観光振興のためにいろんなPRをやっていく、それは後々観光客の来県ということになって効果が出てくるものでありますし、それから道路等に対する整備でありますけども、これも公共事業でありますが、道路がよくなることによって効率がよくなるとか、あるいは大都市とのマーケットが近くなるといったようなことで効果があらわれてくるわけであります。さらに、医療、福祉、介護等々の分野でもいろんな施設整備、耐震化、行われております。あるいはがん対策等々もございますが、こうしたものも単なる消費とは違って、将来に何らかの効果を発現しますし、あるいは将来すべきものを前倒しをしてやるということでございます。そういう効果があろうかと思います。そのほか次世代を担う、お話の中にも出てまいりましたけども、子供の読書活動の推進をするとか、あるいは社会貢献活動を推進するといったものもそういう副次的な将来効果が出てくるものだと考えておるわけでございます。こういう対策を通じまして、活力ある島根を築くための予算措置を今回したというふうに私は考えております。  それから次は、県立浜田キャンパスの位置づけ、特に県の産業創生とか県の発展との関連はどうかという御質問でございました。  県立大学は、地域に根差し、地域に貢献する大学ということを基本目標の一つにして、研究活動、地域貢献活動なんかにも取り組んでおるわけでございます。直接その産業創生でありますとか企業育成ということについて申し上げますと、大学のカリキュラムの中で経済学あるいは経営学等々を教える過程で、ベンチャービジネスや企業について学ぶベンチャービジネス論といったようなものも学生に教えているわけでございますし、それから地元との関連でいいますと、石見地域の企業でインターンシップを行いまして、そこで大学生たちが実践的な経営の現場を経験するということもやっておるわけでございます。  また、地域において活躍する人材を育てるためには、学生たちが地域社会へ入って地域の人と一緒に活動するという経験が大事なわけでありまして、そういうためにも県立大学では学生たちの地域貢献活動を積極的に推進をしておりますし、私どももぜひお願いをしてるとこであります。例えば中山間地域におきます耕作放棄地を活用した農作物の栽培やその販売を手伝うとか、あるいは地域ブランドを確立するために民間の企業と一緒になって活動するとか、あるいは中山間地域研究センターにおきまして共同研究をするといったようなこともあるわけでございまして、さらに大学が地域のシンクタンクとして、例えば浜田市の委託を受けまして、北東アジアの国々にアピールできるような県産品は何だろうかといったような調査研究も行うというようなこともしておるわけでございます。私は、この島根県立大学、地域のためにもいろんな活動をしておりますから、私ども県としてもそういう活動を推進するようにお願いをし、必要な支援も行っていきたいと考えているところであります。  それから、その次の質問といたしまして、島根大学の存在意義、島根県とのかかわりはどうかと、特に産業創生に関連してどうかという御質問でございました。  島根大学は、みずからの憲章に地域問題の解決に向けた積極的な社会貢献の推進ということを掲げておりまして、そのもとに各分野で地域貢献活動に取り組んでおるというふうに思います。他方、私どもから見ますと、島根大学は立派な教員の方々あるいは若い学生諸君、人的な資源として、島根にとって大変大事なわけでございます。また、そういう人たちが知的ないわば財産を持っておるわけでございまして、そういうものを活用して島根の産業振興に役に立っていただく、御貢献いただくということは私どもにとって必要なことでございまして、いろんな活動をしとるわけでございます。例えば機能性食品の分野で教員、学生が企業と共同して特許を取得して会社を設立したというようなこともありますし、県西部の食品製造業関連企業と大学との連携による人材育成や商品開発にも関与しておられるということであります。  また、そういうことがございまして、県としても大学の資源を県内の産業振興創出に結びつけるための協定を平成16年に締結をしておるわけでございまして、これに基づいていろんな連携の事業を行っておるわけでございます。共同研究ということがそうでありますし、あるいは産業人材を島根大学において育成していただくといったことであります。例として申し上げますと、共同研究につきましては、LEDを利用した照明装置の研究開発、これは島根大学が一生懸命やっておられますし、そういう面におきましては技術開発センターなどとも協力をしておりますし、あるいは宍道湖、中海における生物環境等の現況調査、共同調査をやっております。例えば人材育成ということでありますと、Rubyの習得で学生に習得をしてもらうとか、あるいは産業人材育成のために、ITの産業人材の育成のために講師などをしていただくとか、いろんなことをやっておるわけでございます。  今後とも島根大学の持つポテンシャルをさらに活用しまして、県内における新産業、新事業の創出につながるよう努力してまいりたいと思います。  次に、現代社会、貧困問題が大きな問題になっておりますが、田舎にはそういう貧困問題に対処し得るポテンシャルを持っておる、それを活用すべきではないかと、県としてそういうものを全国に向かって発信すべきではないかという御質問でございますが、私も同意見でございます。やはりグローバル化が進み、企業社会における競争は非常に厳しくなっております。それから、大都市は集積する一方、過密の弊害というのも大きくなっておりますし、また人々の考え方が変わりつつあるわけでございます。単に物的な豊かさということだけでなく、精神的な豊かさといいますか、人間的な豊かさを求める人々がふえてるわけでございます。特に都市においてそういう傾向が強いように思うわけでございまして、議員も御指摘になりましたけども、Iターンという形で都市からいきなり海士町でありますとか中山間地域に来られて農業や漁業あるいは林業につきたいという人がふえてるわけでございます。  私どもは、そうした流れを促進するように努力をしたいと、そのためには島根のそうした地域のよさをPRしていくということが大事な課題でございまして、これも議員御承知でございますけれども、農林水産部の若い職員たちが、県内にIターンをしてきて働いている人たちがどのような生活をしてるかとか、そういうものを本にして、「田舎ごこち」という本を出したわけでございますが、それも一つの我々のこうした問題に対する対処の仕方であります。都市の人たちは、そういう地方、田舎に行って仕事をしたい、自然の近くで住みたいという希望を持っていますけども、どうしたらそれが実現できるのか、あるいは行ったらどういう生活が待ってるのかと、非常に不安なわけでございます。そういう意味で、情報を我々のほうから提供する、さらにそういう中山間地域が住みやすくする、住みやすくして、都市の人々も一定の生活ができるように整備するということも大事な課題でございまして、そういう意味で、過疎対策などにおきましていろんなソフト事業を行うことによって生活環境を整備をするというのも我々の課題でございます。そういう問題に対しまして、さらに努力をしてまいりたいというふうに思います。  最後に、公共図書館についての御質問がございました。  県内の公立図書館は、昭和54年、1979年に12館ございましたが、現在2009年、34館となってるわけでございます。30年間に倍以上、3倍近い数にふえているわけでございます。やはりそうした公共図書館というものは地域における文字、活字文化を支える拠点になっておるし、それからそういうことを通じまして子供の教育でありますとか大きな影響を与える拠点になってるわけでございます。  また、そうした中で、公共図書館では正規職員の十分な配置が困難な状況になっているというのも議員御指摘のとおりでございます。私どもは、少なくとも小中学校の読書活動を進めようとしておりますが、これは義務教育でございますから、市町村ごとに余り差があるということは望ましいことではありませんから、県としては各市町村に対して一定の支援をするということを組みましたが、公共図書館になりますと、そこはやはり地域地域で御判断をある程度せざるを得ない面があるわけでございまして、もちろんできるだけ専門性の高い正規職員の方々が市町村の図書館で職員として活動されるということが望ましいわけでございますけども、その処遇等をどうするか、配置の人員をどうするかは、やはり地域地域の中で決めざるを得ない問題かと思いますが、私どももできるだけ相談など乗ってまいりたいと考えておるところであります。以上であります。 26: ◯副議長上代義郎) 加松総務部長。  〔加松総務部長登壇〕 27: ◯総務部長(加松正利) 産業創生にかかわる県担当者の人事異動についてお答えいたします。  県職員の人事異動につきましては、3年を人事ローテーションの基本としておりますが、専門的な職員の配置、育成などが求められる分野につきましては、必要に応じて通常の3年の人事ローテーションにこだわらず、同一の所属、職務に従事させることも行っております。特に産業振興や企業誘致のような部門は、相手との関係に長期的な信頼関係やネットワークを必要とするところもありますので、そういう努力を行っていかなければならないと考えております。もっとも、そのような場合でも、個々の人事異動に当たっては、本人の希望、適性、上位職の任用などを考慮いたしまして、組織全体としての最適配置のために、通常のローテーションで異動させることが適当な場合もございます。  いずれにいたしましても、職員が業務を通じて培ったネットワークができるだけ失われないように、人事異動の仕方の工夫も含めまして、組織全体として適切に対応してまいりたいと考えております。 28: ◯副議長上代義郎) 山根環境生活部長。  〔山根環境生活部長登壇〕 29: ◯環境生活部長(山根成二) 私からは、消費者関係の3点の御質問についてお答えをいたします。  まず、消費者相談窓口についてでございます。  現在、県におきましては、松江の消費者センターと益田の相談室と2カ所に専門相談員を配置して、消費生活相談に対応しております。市町村におきましては、相談窓口が設置されているのは4市でございまして、現在、他の市町村においても設置についての準備あるいは検討がなされております。  市町村は、住民に最も身近な相談窓口として対応することとされております。住民の皆さんが希望される相談の第一義的な対応が可能となる体制をできるだけ早く整備していただきたいと、かように考えております。県といたしましても、先般設置いたしました基金を活用した市町村の窓口整備や相談員の配置などが進められるよう働きかけ、あるいは支援を行ってまいりたいと、かように考えております。  次に、相談員の養成についてでございます。  近年、消費者問題は非常に複雑かつ多様化してきております。このため、相談員についての法定の資格はございませんけれども、例えば国民生活センターが認定する消費生活専門相談員など、そういった専門的資格あるいは知識を持っていることが望ましいと考えております。県では、こうした高度な知識を習得するため、平成16年度から消費者リーダー育成講座を実施しております。この講座にはこれまで154名の方々が受講されましたが、中には消費生活専門相談員試験に合格した方もおられ、さまざまな消費相談に対応できる相談員を育成しているため、非常に有効だというふうに考えております。また、国の外郭団体でございます国民生活センターにおきましても、今年度から消費相談員養成講座の開催回数をふやすとともに、地方での開催を実施されまして、受講者が参加しやすいように配慮がなされたところでございます。もとより相談員の養成は一朝一夕にはいくものではございませんけれども、これらの研修、講座を通じまして、また消費者行政活性化事業の活用も含めまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、相談員の処遇改善についてでございます。
     現在、県の専門相談員は、非常勤嘱託職員として採用しておりまして、報酬につきましては、相談員の専門性を考慮いたしまして、一般の非常勤嘱託職員と比較して高く報酬を設定しております。消費生活相談員の処遇改善につきましては、御指摘のように国におきまして地方財政措置が拡充されてきたところでございますので、職務の専門性あるいは困難性、人材確保の側面、あるいは他県の状況などを総合的に勘案して、その処遇のあり方について検討してまいります。以上でございます。 30: ◯副議長上代義郎) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 31: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 私からは、安心こども基金、自殺対策、盲導犬育成の3点についてお答えをいたします。  まず、安心こども基金についてでございますけども、昨年度、待機児童の解消に向けた保育所整備などハード事業を中心に創設され、さらに今年度はソフト事業を中心に拡充が図られたところでございます。ことし3月末に市町村から提出された今年度の保育所整備計画におきましては、地域の待機児童の増加傾向を踏まえまして、今年度、約300人の定員増加を予定をされております。さらに、来年度についてもさらに定員増加が検討をされております。  来年度の整備計画はまだ精査されたものではございませんが、現時点では、ハード事業に充当可能として国から示されている枠は、これらの2カ年の整備計画には不足をしております。このため、国に対しまして、地域の実情に応じて基金を柔軟に執行できるように強く要望いたしました。その後、国の取り扱いが変更されまして、厚生労働大臣の承認を得れば、ハード、ソフト両事業間での枠の利用が可能となっております。今後、ソフト事業を含めました県及び市町村の事業計画を取りまとめる中で、事業間の枠の流用など、待機児童の解消を目指す市町村の要望にできる限りこたえられるよう努力してまいります。  次に、自殺対策のこれまでの成果と現下の傾向、今後の対策と力点についてであります。  平成20年の本県の自殺者数は215人と、前年に比べまして18人減少しております。自殺死亡率も全国では上位ではございますが、人口10万人当たり29.9人となりまして、3年ぶりに30人を切ったところでございます。  しかしながら、現下の厳しい経済情勢の中で、企業倒産や失業者の増大によりまして、ことしの1月から4月は全国的に前年同期を上回る自殺者数が報告されております。本県でも前年同期比で5人ふえております。雇用情勢等を踏まえ、関係の指標を注視していく必要があると考えております。  また、本県では、平成20年3月に島根県自殺対策総合計画を策定したところでございます。初年度であります平成20年度は、うつ病対策を始め、今後の対策の土台となる県民の皆さんへの普及啓発、かかりつけ医や民生委員等への研修、相談体制の充実並びに遺族支援を中心に取り組んできております。今年度は昨年度の取り組みを継続をするとともに、全国平均と比べて自殺死亡率の特に高い40代から50代の働き盛りの男性、それから75歳以上の高齢者に重点を置いた対策を進めていくことにしております。また、住民に身近な市町村での自殺対策を推進していくために、市町村における自殺対策担当部局等の設置、それから地域におけるネットワークの構築、自殺予防のための啓発事業の実施等を働きかけてまいります。  次に、島根いのちの電話の相談員の現状と確保についてでございます。  島根いのちの電話は、身近に相談できる相手もなく孤独や不安に苦しむ人々に、電話を通してよき話し相手となって、心の支えになろうとする民間のボランティア活動でございます。自殺の相談も多く寄せられておりまして、自殺予防の観点からも非常に重要な活動と認識しております。その活動は本当に頭の下がる思いでございます。  島根いのちの電話は昭和54年7月に開局されておりまして、ことしで30周年を迎えます。90人前後の相談員の皆さんが交代で、年中無休で、年間1万件以上の相談に対応されております。相談員の方々は、純粋にボランティア精神のもとで、電話を通した一期一会を大切にし、生きる元気を取り戻したという声に、喜びとやりがいを感じておられると伺っております。  しかしながら、家庭事情等によりまして続けられない方が相談員をやめられたり、一方で新たな相談員の希望者も減少してきております。相談活動にも影響が出ていると聞いております。こうした状況を踏まえまして、県としては相談員の確保に向けまして、相談員の活動を広く県民の皆さんに周知するとともに、現在行っております養成研修等に係る経費、これの助成に加えまして、研修受講者の皆さんの負担の軽減などを図るなど、より一層の支援をしていきたいと考えております。  次に、盲導犬利用についてでございます。  県では、盲導犬の普及を図るため、盲導犬訓練施設に委託をいたしまして、盲導犬の育成と貸与を行う身体障害者補助犬育成事業を平成13年度から実施をしております。この事業によりまして、これまで9頭の盲導犬を育成をいたしまして、利用希望者に貸与しておりますが、このうち7頭が現役で県内で活躍をしております。  この事業につきましては、事業の早い時期に貸与している盲導犬が交代していく時期が近づいております。これに対応する必要がありますことなどから、本年度、育成貸与数を1頭から2頭にふやしたところでございます。  なお、現在、県内には民間団体から貸与された盲導犬が4頭おりまして、県内で活動する盲導犬は計11頭でございます。  また、盲導犬に対する理解と関心を高めるために、県の広報を活用した啓発番組の放送や、それから旅館、飲食店の組合等とタイアップした研修会、説明会の開催、関係団体への情報提供などの啓発に努めております。さらに、今後、島根あさひ盲導犬訓練センターに委託をいたしまして、盲導犬に関する啓発活動を行う専門員を配置する予定でございます。県としては、こうした盲導犬の無償貸与や啓発活動を中心に、盲導犬の利用者に対する支援を進めていきたいと考えております。以上でございます。 32: ◯副議長上代義郎) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 33: ◯教育長藤原義光) まず、県内の公立小中学校の耐震化の取り組みについてであります。  本年、文部科学省が公表した耐震状況調査の結果によりますと、非木造の建物の耐震診断の実施率は91.1%、耐震化率は60.8%であります。調査対象に追加されました木造の建物は、現時点では実施率ゼロ%、耐震化率が22.4%となっております。現在、耐震診断の結果、Is値が0.3未満であることが判明しております31棟の建物については、その10棟が今年度耐震工事を実施中であります。10棟は国の平成21年度の補正予算によります交付決定を受けまして、工事に着手する予定であります。残り11棟につきましては、今年度に実施設計を行いまして、平成22年度の予算での工事を行う計画になっております。これによりまして、31棟のすべての耐震化が完成する予定であります。  次に、地震の防災対策特別措置法の補助率の引き上げの期間の延長についてでありますが、市町村には、まずは現行制度を活用して早期に耐震化を進めていただきたいと考えております。特別措置の期間後のことにつきましては、今後の耐震化の進捗状況等を踏まえ、必要な場合には国に対して要望を行うべきと考えます。  次に、小学校での映像メディア利用の実情についてお答えいたします。  私は常々、学校教育では子供の感性を高める教育活動が大切であると言っております。野山の木々の移ろいや鳥のさえずり、風のにおいで季節を感じたり、地域の人々との触れ合いから学ぶ活動は極めて意義があり、これらのいわば原体験を人格形成期の子供たちに多く経験させたいと考えています。  また、科学や歴史の書物を通じて、なるほどそうだったのかと知識欲を満たしたり、物語の世界に浸り、疑似体験によってみずからが物語のヒーローになることも大切であります。こうした読書は、テレビやパソコンが弱めると言われる脳の力、脳力を高め、情操力のアップにもつながると考えます。  しかし、学習内容によっては、子供の興味関心を高めたり学習内容の理解を深める上で、こうした活動だけでは十分でなかったり、実際に体験することが難しい事柄も考えられます。例えば上空から見るふるさとの風景、外国や他県の風景や人々の暮らし、つぼみが開花したりメダカがふ化する様子、おなかの中の胎児の様子、こうしたことについては、学習の際に映像メディアを活用することも効果的であると考えます。実際に、多くの小学校では、そうしたメディアを活用した学習にも取り組んでおります。大切なことは、教育効果を高めるために、映像メディアを学習の中で上手に使っていくという工夫をすることだというように思っております。  次に、思春期までの子供の映像メディア接触についてであります。  思春期までの子供には、テレビやゲーム、携帯などの映像メディアにできるだけ浸り切りにさせないようにすることは大切であります。そのためには、単に取り上げるのではなくて、家庭での触れ合いの時間を持つとか、読書あるいはさまざまな体験の機会など、映像メディアにかわるものを与えることが重要であります。  例えば松江市では、早くからノーテレビ、ノーゲームデーに取り組んでいる教員を推進員として配置しておりまして、家庭学習や家庭読書の時間を確保するなどの取り組みを強力に推進しております。また、雲南市では、ノーメディアに取り組む日曜日に親子で買い物をしまして、親と相談しながら月曜日の弁当を子供の力だけでつくる、子供がつくる弁当の日の取り組みを開始しております。  次に、ノーテレビ、ノーメディアデーの取り組みについてでありますが、こうしたノーテレビ、ノーゲームデーなどのメディア対策にも力を入れていく必要があるというふうに考えましたので、心身両面にわたる健康増進の視点に立って、子供の生活習慣改善対策を進めるべく、平成19年に健康づくり推進室を設けたところであります。県を挙げてメディア対策に取り組んでいるのは全国でもまれな例だと承知しております。これまでの講演会やフォーラムの開催、実践事例集の発行などの啓発事業によりまして、ほとんどの小中学校で生活習慣改善に向けた取り組みを行っておりますが、学校からの呼びかけだけでは十分効果が上がりにくいという面もありますので、学校と家庭がお互いに連携しながら、地域を巻き込んだ総ぐるみの取り組みが必要であると考えております。  そこで、本年も、県内2会場で子供の生活づくり実践事例発表会を開催することにしております。発表会では、先ほどの松江市や雲南市などの実践事例を紹介することにしておりまして、県内各地への波及を図りたいと考えております。7月4日には浜田市の県立大学において開催し、私もパネリストとして出席いたします。  次に、携帯に係る情報モラル教育の取り組みについてであります。  現代社会は、インターネットや携帯電話という便利なものを手にしてしまいました。今さらこれを取り上げるという手段で犯罪から回避ができないとすれば、小学校の早いうちから情報リテラシーを高めるとともに、使用に当たってのモラルを学校教育の中ではぐくんでいくことが肝要だと考えます。  携帯電話については、昨年2月に県警、健康福祉部との3者の代表者会議を開催いたしまして、保護者や子供たちに向けた子供のネット被害を防ごうというメッセージを発信いたしました。本年1月末には、携帯電話の学校での取り扱いの方針や、家庭、学校、行政が取り組むべき情報モラル教育について、学校等へ通知をいたしたところです。また、県独自の携帯トラブルに対します対応マニュアルを作成したり、保護者向けの広報紙での特集やパンフレットを配布するなどの啓発にも取り組んでおります。  ネットいじめなどは、被害が潜り込んだり、あるいは陰湿になったりして、なかなか実態がわかりにくいところもあります。学校の現場がすべてをやるというわけにもいきません。地域や家庭の取り組みも必要であります。そういうことから、先ほど申しました教育行政と県警、健康福祉部の3者に加えまして、今年度は環境生活部にも参加をいただいて、4者で会議を持ちまして、それぞれの組織が連携して取り組むこととしております。地域、保護者とも連携しながら、個々具体的な対策と総合的な対策の両面からそれぞれの課題に対処していきたいと考えております。  次に、子供読書活動の推進事業についてであります。  まず、現時点での司書等の配置状況でありますが、6月1日の時点で調査いたしましたところ、県内の小中学校347校のうちで337校で取り組みが始まっております。ボランティアが193校、司書のAが127校、司書のBが17校という状況であります。残りの10校につきましては、現在、該当の町で人材を探しておるという状況にあります。  次に、学校の取り組み状況ですが、指導主事による学校訪問や市町村の教育委員会へのアンケート調査で把握したところによりますと、まず学校司書と教職員の協力により図書館の環境整備が進んだ、短い休み時間でも図書館に行く子供がふえた、人がいる図書館になることで図書の貸出数がふえた、生徒等の会話で図書や図書館が話題になることがふえたといった成果が見られており、教職員や児童生徒の読書への意識は確実に変化してきています。  次に、6月補正における子ども読書活動推進事業を円滑に進めるための事業の概要についてであります。  1つ目は、学校図書館パワーアップ事業と称しておりますが、教員や学校司書等が協力しながら魅力ある図書館に改善しようとする学校に対しまして、県のほうでアドバイザーを紹介するとともに、利用しやすい図書館にするための整備を支援してまいります。本年度は15校の推進校を選定し、その取り組みを地域の学校に普及していきたいと考えております。  2つ目は、子供読書に関するコンクールを実施いたします。これは、読書活動や図書館を活用した教育において熱心な取り組みを行っている学校を表彰し、その具体的な取り組みを全県的に紹介していこうとするものであります。  3つ目は、学校司書等の活動例や学校司書と教員が協力して行う授業の実践例を研修用のDVDとして作成するものであります。  最後に、学校司書等や学校に対する今年度の支援体制あるいは来年度以降の考えについてであります。  今年度、学校図書館の担当の指導主事を義務教育課に配置いたしております。この指導主事を中心として、生涯学習課、県立図書館の担当者が週に1回の連絡会を持ちまして、3者が連携を深めながら事業の推進に努めております。あわせて、県立大学の教授、司書教諭、司書等の専門家の代表の方に参加していただきまして、学校図書館の支援会議を組織いたしまして、学校現場への具体的な支援方法についての協議をしていただいております。  実際の学校への支援としましては、今年度、学校司書を対象にした研修を3回、ボランティアを対象に3回、計6回の研修を予定しております。いずれの研修も、研修内容を段階的に高めていくというふうな方法をとりたいと思っております。  また、小中学校の校長、教頭を対象といたしました年度初めの連絡会で、私の講話の中で、県全体として取り組もうとしているこうした図書館教育の取り組みについて、各学校においても強力に推進するよう強調しました。さらに、教育事務所の指導主事による学校訪問の際に、取り組みの状況を把握いたしまして、優良事例については他校へ紹介するなどの活動を行いたいと思っております。  さらなる学校図書館の指導を行います専任職員の配置については、まずこうした学校図書館への支援あるいは管理職の指導力の強化を進めておりますので、その状況が相当成果が上がる、あるいは意識の高まりが期待できると考えておりますので、まずはその状況を見てみたいというふうに思っております。以上でございます。 34: ◯副議長上代義郎) 藤間議員。  〔藤間恵一議員登壇、拍手〕 35: ◯藤間恵一議員 自民党議員連盟の藤間恵一でございます。  知事始め、関係部長の御答弁をよろしくお願いいたします。  まず初めに、前回2月議会において知事に石州瓦のトップセールスについて質問しましたところ、早速、中国5県の知事や経済団体が出席された中国地域発展推進会議の場において、石州瓦の魅力やすぐれた点をPR賜り、今後の販路拡大に大きく期待しているところであります。  それでは、質問に入ります。  初めに、山陰自動車道の整備について伺います。  高速道路は、広域的な産業や経済の振興など地域の自立的発展や、国土形成、災害時の対応、あるいは有事の際の国民保護活動への対応などの面から、国の最も根幹的かつ重要な社会資本であります。しかしながら、高速道路整備のおくれている地方においては、ネットワークされていないがために、国内外のグローバルな産業、経済活動から取り残され、都市部との地域間格差がますます拡大している状況であります。  高速道路ネットワークは、教育、福祉、医療などと同様に国が保障すべき基礎的サービスであり、公平性を確保する観点から、国の責任において早期に完成すべきものであります。本県の山陰自動車道及び中国横断自動車道尾道松江線は、日本海沿岸の諸都市を結び、全国各地との連携、交流を活発にするなど、地域の自立的発展と企業の競争力強化のために必要不可欠な路線であり、その全線開通は県民の悲願であります。しかしながら、本県の高速道路は、計画延長284キロメートルのうち141キロメートルが供用済みで、供用率は約50%でありますが、全国平均の73%に比べると依然として整備がおくれており、高速道路ネットワークの早期整備は喫緊の課題であります。  このような状況の中、自民党議員連盟では、本県の高速道路の整備促進を図るため、国に対する要望活動を行う一方、昨年7月には、鳥取、島根、山口の3県が連携しながら地域を活性化させ自立的な発展を図ることを目的に、山陰自動車道の建設を促進する3県合同県議会議員の会を発足し、国への強い働きかけを行うなど、精力的に活動しております。その結果、本県が平成20年新規着手を要望しておりました山陰自動車道の出雲湖陵間、静間仁摩間がことし3月に新規事業として採択されたことは、我々の要望が反映されたものと評価してるところであります。  現在、中国横断道尾道松江線については、三刀屋木次インターチェンジから尾道まで間は、平成20年代中ごろの供用開始に向け、工事が順調に進んでいます。一方、山陰自動車道の整備状況につきましては、斐川出雲間が今年度中の供用開始に向けて進捗しております。また、出雲仁摩間については、湖陵多伎間と大田静間間以外の27キロメートルについて整備が進められ、仁摩温泉津道路と浜田三隅道路については、既に工事が順調に進んでおります。益田道路につきましても、今年度中には遠田久城間が供用開始することとなっており、一部県道を利用しますが、全線が利用可能になると聞いております。  このように、各区間ごとに開通を目指して鋭意事業に取り組まれているところでありますが、温泉津江津間と益田萩間についてはいまだ都市計画決定もされず、未計画の区間として取り残された状態にあります。特に温泉津江津間は本県の中央部に位置し、東西のネットワークを完成させるためには必要不可欠な区間であり、目に見える形で早期に事業化のめどを立てるべきであると考えております。  地元では、地元有識者などで構成されている温泉津・江津間道づくり懇談会が、温泉津江津間の早期整備につなげていくため、道路の現状と課題、また道路の必要性、整備効果及び整備のあり方などについて提言書を取りまとめられ、昨年10月に大田市、江津市のそれぞれの市長に提言されたところであります。この区間の早期整備に向けて、地元の機運は一層高まってきております。  また、先週22日の豪雨により、大田市、温泉津町では土砂崩れにより国道9号が全面通行どめになるなど、県西部の脆弱な道路事情を露呈することとなり、関係者からは、国道9号の代替道路などとしての機能が期待される山陰道の早期整備を求める声が上がったとの報道もあったところであります。  一方、道路整備財源の一般財源化に伴う直轄事業費の削減、地方負担金問題の発生など、昨今、国直轄事業を取り巻く情勢は大きく変化しており、高速道路の整備については不透明さが増し、さらなる事業化のおくれが懸念されます。  そこで伺いますが、山陰自動車道の各区間のうち、いまだに事業化のめどが立っていない温泉津江津間と益田萩間について、事業化に向けた取り組みの状況についてお伺いします。  ことし3月末に国土交通省が、費用対効果の基準に満たない国道54号線三刀屋拡幅事業を始め、全国で18路線の国直轄事業を凍結したことは、まことに遺憾でありました。しかし、先週のところで、地方整備局の事業評価監視委員会による審査が行われ、三刀屋拡幅事業についても車線数を減らす見直しがありましたが、凍結解除されたことに一安心しております。  しかし、今後もこのような事態が起こるようであれば、道路整備の推進に大きな支障を来すのではないかと憂慮しております。今回の三刀屋拡幅事業の状況をごらんになって、道路事業評価について、知事の所見を伺います。  次に、温室効果ガス排出削減について伺います。  20世紀の急速な産業活動の進展により、人類は物質的に豊かな生活を獲得しましたが、その一方で地球温暖化が原因と見られる現象が多発しております。このような中、1980年代後半から科学的な解明が急速に進む中、地球温暖化問題に対する国際的な関心が高まり、1992年に各国で対策を行うための気候変動枠組条約がつくられ、1997年には京都議定書が採択されました。  この議定書では、先進各国による温室効果ガス排出削減について、法的拘束力のある数値目標として、2008年から2012年までの5年間に、1990年比で、日本は削減割合を6%、米国は7%、EU加盟国は全体で8%と定め、それに伴う目標達成計画が策定されているところであります。しかしながら、日本は、京都議定書が採択された1997年以降も削減が進まず、2007年には1990年比で9%増加し、目標である2012年までに6%の削減義務が困難な状況にあります。  このような中、今月10日に麻生総理は、2020年までの日本の温室効果ガス排出削減の中期目標を、2005年比で15%削減する方針を発表されました。これは、昨年7月に政府が閣議決定した低炭素社会づくり行動計画で2050年度までに二酸化炭素などの温室効果ガスを現状より60から80%削減するという長期目標の道しるべになるものであります。  この中期目標は、欧米各国が組み込んでいる海外からの排出枠獲得や二酸化炭素の森林吸収分を含まない真水の削減目標であるとのことであり、世界最先端のエネルギー効率を誇る日本がこの目標を達成するには、各分野で新たな負担は避けられないとのことであり、我々も相当な覚悟が必要であると考えていますが、今回首相が示した中期目標について、知事はどう受けとめられたのか、感想をお聞かせください。  本県においては、平成17年に島根県地球温暖化対策推進計画を改定し、県内における二酸化炭素の排出量削減目標を、2010年度に1990年度比で2%削減することとし、県民、事業者、行政が連携した取り組みを推進しておられます。しかし、2006年度の二酸化炭素の排出量は、基準年度と比べると13.1%増加し、前年度と比べると0.2%増加しており、来年度の目標達成は極めて厳しい状況にあります。  この増加の要因としては、家庭から排出されるものが一番の原因で、基準年度から20%増加しております。これは、世帯数が約13%増加したことや、家電の普及に伴う1世帯当たりの電力消費量が18%増加したことが原因であります。また、そのほかには、事業所やビルなどの増加に伴って、空調、照明設備、OA機器の電力消費量の増加により、排出量も約20%ふえております。自動車保有台数も約35%増加し、それに伴い、ガソリン販売量が約23%増加していることなどが主な要因であります。  この根底には、やはり県民の意識の低さがあるのではないでしょうか。まず、一人一人の省エネに対する意識を高めていき、家庭や事業所、さらに地域での取り組みにつなげていくことが重要であると考えます。  本県では、温室効果ガス削減に向けた重点施策として、脱温暖化社会へ向けて、県民、事業者、行政機関等で構成された島根県地球温暖化対策協議会を設立し、さまざまな地球温暖化防止活動と温暖化防止対策の必要性、重要性の普及啓発活動などの事業に取り組んでおられます。しかしながら、家庭や事業所から排出される二酸化炭素の削減効果が上がっていないようですが、これまでのこの協議会での活動内容をお聞きするとともに、今後、目標達成に向けどのような対策をお考えなのか、伺います。  また、地域の自然的、社会的条件に応じた取り組みを推進するため、各市町村に地球温暖化対策地域協議会の設立を促進され、今年度からこの協議会に対して、産業廃棄物減量税を活用した地域連携による省エネ3R活動支援事業を行っていくとのことであります。  そこで伺いますが、県民一人一人の意識改革を図るためには、各地域での普及啓発を積極的に実施する必要があると考えますが、そこで、各地域協議会の設立状況と、今後どのように設立を推進していかれるのか、また、県の支援事業により、地域協議会ではどのような活動が行われるのか、お聞かせ願います。  次に、島根の県産品認証制度について伺います。  近年、食品の偽装表示、事故米の不正流通など、食に関する不安を抱かせる事件が多発している中、消費者の食の安全・安心に関する意識がますます高まりを見せております。そのような中で、このたび県では、安全でおいしい島根の県産品認証制度を創設され、先般、鶏卵と生シイタケの初認定が行われました。この認定制度は、消費者にとっては、自分にかわって生産現場に出向いて安全を確かめてもらう制度であり、一方、生産者にとっては、一生懸命に生産に取り組んでいることを消費者に伝える制度であります。  島根の認証制度は、美味しまね認証という愛称も決まったところでありますが、改めてこの制度のねらいと認証の仕組みを伺います。  次に、この認証制度の仕組みの中で重要なポイントと伺っている生産工程管理基準について伺います。  生産工程管理、いわゆるGAPには、基礎GAP、JGAP、国際的基準のグローバルGAPなどがありますが、このたびの本県独自の基準にはどのような特徴があるのか、伺います。  次に、認証制度の信頼の確保について伺います。  認証の適否の判断が適正に審査されているかどうかは、制度の信頼を確保する重要なポイントであり、本県の認証制度の場合は、農場等の現地審査を実施し、さらに消費者や集荷流通団体、学識経験者などで構成する審査委員会で厳正に審査されることとなっております。現地審査は、資格を有する県の職員が個々の審査項目ごとに審査すると聞いております。幾ら厳格な基準を設けていても、厳正な審査が確保できなければ信頼は得られませんので、しっかりとした運用をお願いいたします。  また、消費者に対しては、情報を開示することが信頼に向けた大きな要素と考えます。基準や審査に関する事項など、認証制度の概要や残留農薬分析結果等の情報を開示することで信頼される認証制度となり、消費者の安心感の醸成に結びつくと考えております。  この制度はスタートしたばかりであり、この認証制度が生産者と販売店や消費者に広く認められ、それぞれから信頼される制度としなければなりません。  そこで、この制度を今後広く浸透させ信頼を確保するためには、生産者及び消費者に向けて徹底したPRが必要と考えますが、今後具体的にどのようにされていくのか、伺います。  本制度は、厳しい基準を定め、生産者がそれを実践すること、さらにその取り組みを消費者が支持することによって成立する制度であり、生産現場と消費者の双方で受け入れられることが必要であります。常に広く生産者や消費者から意見を聞きながら、本県にふさわしい制度となるよう進化させていく姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  最後に、自然が豊かで清浄な農地で、まじめで粘り強い県民性の生産者が丁寧に生産した農林水産物を、公の機関である県が厳しい基準のもとで認証することは、他県の農林水産物との競争に打ち勝つ有力な手段と考えております。この制度がしっかりと根づくためには、知事の提案理由説明にもあったように、引き続き認証品目をふやすことが必要だと考えますが、具体的な取り組みについて伺います。  次に、災害時の要援護者の避難支援等について伺います。  今月9日の梅雨入り以降、山陰地方はしばらく穏やかな日々が続いておりましたが、しかし高速のところでも述べましたが、先日22日に梅雨前線が活発化し、断続的に降り続いた激しい雨により、土砂崩れや床下浸水、倒木などの被害が発生しましたが、幸いにも人的被害はありませんでした。  一般的に、豪雨は台風などと異なり予測が困難であり、また地形によって土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害、洪水などの甚大な被害をもたらしておりますが、このときに一番大切なのは、住民の命と財産を守ることであります。  このような観点から、昨年9月議会において、災害時の要援護者の避難支援等についてお伺いしました。過去の災害による犠牲者の中で、高齢者の占める割合が高くなっている現状があります。特に過疎化、高齢化が進んでいる本県では、高齢者等、災害時にみずから避難することが困難である要援護者の方々を災害から守ることが重要な課題となっております。  このため、1点目には、要援護者を災害から守るためには、まず対象者リストの作成が必要であり、県として、未作成の市町村に対して早急に作成を働きかける必要があるのではないかとお聞きしました。2点目は、対象者リストを作成しても、要援護者が迅速かつ的確に避難できるように地域と連携し、避難支援の内容やその支援を行う者などを定めた避難支援プランの作成が不可欠であり、リストを既に作成した市町村における避難支援プランの策定状況についてお聞きしました。そして、3点目には、そのプラン作成が進まない原因としては、個人情報の保護意識が壁になっているのではないかとお伺いしました。  その際の答弁では、21市町村のうち名簿作成済みは7団体であり、未作成の市町村に対しては引き続き市町村の実情を聞きながら、できるだけ早期に作成するよう働きかけるとのことでありました。  また、避難支援プランの策定状況については、名簿作成済みの7団体のうち、出雲市と益田市では要援護者個別の登録台帳が策定され、松江市では各地域で説明会を開催されるなど、要援護者一人一人の避難支援プラン作成に向けて取り組んでおられるとのことでありました。その他の4団体については、2団体が準備検討中で、残りの2団体は、作成に向けた検討はされておりませんでした。  この避難支援プランの策定が進まない原因については、個人情報保護が大きな問題となっているとは言えないものの、要援護者本人に十分説明するなど、要援護者に理解が得られるよう、市町村に対して助言していくとのことでありました。しかし、安全・安心な県土を実現するには、予期せぬ災害に対しても、要援護者の方々も無事に避難できるような対策が必要であります。そのためにも、各市町村において要援護者の対象者リストなどを早期に作成する必要があると考えますが、県ではその後、対象者リストの未作成の市町村に対してどのような働きかけをされたのか、また各市町村における対象者リストの作成状況と避難支援プランの作成状況についてお伺いするとともに、避難支援プランの作成が進んでいない状況があるならば、何が原因なのか、改めてお伺いします。  最後に、これまでの議会でも、自民党議員連盟で何度か質問し、要望しておりましたが、高齢者や障害者の施設などへのスプリンクラー設置について伺います。  消防法の施行令が一部改正され、この平成21年4月から、一定の規模より大きい社会福祉施設等にはスプリンクラーの設置が新たに義務づけられたところであります。高齢者や障害者の施設などでは、火災発生の際に入居者御本人の避難が難しい場合も考えられましたが、スプリンクラー設置の義務づけにより、これまで設置されていなかった施設などへの設置が進み、入居者御本人やその家族の皆さんなどの安心が一層増すこととなります。
     この義務づけの実施には、平成23年度までの猶予があるものの、スプリンクラーの設置費用の負担をどのように図るかということが懸念されておりました。このような中、高齢者施設のうち小規模グループホームなどに設置するスプリンクラーについては、ことしの1月から施設整備の助成制度が認められたところであります。  一方、大規模な特別養護老人ホームや短期入所専用施設については、助成制度はありませんでした。また、障害者施設、生活保護施設については、施設整備費に対する国庫補助制度は従来からあったものの、補助単価が低いという課題がありました。  今回の国の経済危機対策では、これらの課題に対応し、大規模な特別養護老人ホームを始めとした高齢者施設などへの新たな助成制度や、障害者施設などへの補助単価の引き上げが実施されると聞いております。今回の県の補正予算案には、国のこの対策を活用してスプリンクラー設置を支援する予算が盛り込まれていますが、今後どのように設置を進めていかれるのか、伺います。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 36: ◯副議長上代義郎) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 37: ◯知事溝口善兵衛) 藤間議員の御質問にお答えいたします。  最初は、国道54号三刀屋拡幅工事事業に関してであります。  御指摘のように、国は3月末に国直轄事業のうち18路線について凍結を決めたと申しますか、発表したわけであります。それに対しまして、いろんな声が国じゅうからもあり、国交省中国整備局におきまして三刀屋拡幅事業について事業評価監視委員会が再評価をするといったことが行われ、その結果、凍結解除ということになったわけでございます。これは私どもの主張、地元の主張、あるいはいろんな方がこの問題について国に対していろいろ申し上げてきたわけですけども、そういうものが認められて、評価をしておるところであります。  内容は、御指摘がありましたように、拡幅事業の工法を見直してコストを下げるとか、あるいは新たな交通量を推計いたしまして、それに基づく道路構造の見直しによってコストが少し下がるということがあり、それから便益が大きな問題であったわけですけども、従来は時間短縮、走行経費、そして事故減少に伴う、いわばコストの減少をベネフィットとして評価しておったんですが、我々はその3要素だけでは狭過ぎるということを主張してきたわけであります。例えば救急医療に対する影響でありますとか、あるいは環境への影響、あるいはまちづくりの影響、あるいは産業振興などにもプラスの影響があるわけですから、そういうものを総合的に考えるべきではないかという主張をしたわけですが、国交省の再評価におきましてもそういうものが一部取り入れられたというふうに考えております。そういう意味で、評価につきましても一歩前進があったというふうに評価しているところでございます。  私どもは引き続き、今後国が事業評価を行う場合に、実態に合わせた評価、それについて地元の意見などもよく聞いてほしいということが1つ、それから実際に事業を既に行ってるようなところにつきましては、行ってる事業がいろんな地元の行政とかの施策とかにも影響を及ぼしてるわけでございますけども、そういう点にもよく配慮して評価を行うべきだというふうに考えてるとこでありまして、そういう考えに基づきまして、国等に働きかけを引き続き行っていきたいというふうに考えているとこであります。  それから、2番目の質問は、先般総理が温室ガス効果排出削減の中期目標を出されたわけであります。それについてどう思うかということであります。  御説明にありましたけども、京都議定書は2012年までの目標ということになっておるわけでありまして、2013年度以降の目標につきましては、第15回の気候変動枠組条約締結国会議が今年の12月に開催されるということになっておりまして、それに向けて日本の目標を出していかなきゃいかんということで出されたわけであります。骨格、核心は、2020年までに2005年比で温室効果ガスの排出量を15%削減するという案なわけであります。  この目標は、政府の中に設けられました地球温暖化対策に関する懇談会で、6つの案が俎上に上がって検討されたわけでございます。非常に削減の目標の削減率の大きいものは30%に当たるわけでございます。一番小さいものは4%、2005年比でありますけども、15%というのは大体その真ん中ぐらいでございまして、太陽光発電が現状よりも10倍ぐらいにふえるとか、あるいは次世代自動車の比率、これは今1%ぐらいだそうでありますけども、それを将来は更新時には半分ぐらいにするとか、いろんな想定を置いて15%削減という目標を出したわけでございます。  しかし、これはあくまでも目標で、それをどうやって実現するかということが大切なわけでありますが、いろんな見方があるようでございます。1つは、日本は既に従来から省エネ取り組みをやってきておるんで、エネルギー効率の水準からいえば、もう世界のトップクラスだということでありまして、そういうところからさらに削減するというのはなかなか容易ではないといった意見とか、あるいは議員も御指摘になったわけですけども、この目標が排出量取引や森林吸収量を含まない、いわゆる真水の削減だということでありますから、これは真水で削減しようとするといろんな対策をとらなきゃいかん、そのために大きなコストがかかるわけです。いわば国民全体に、国民経済全体に負担がかかるわけですが、その負担をどうやってみんなが負担していくかという大きな問題があるわけでございます。そういう問題をこれから具体的に決めなきゃいかんわけでございます。しかし、地球温暖化防止、国際社会が取り組まなきゃいけない課題でございますから、引き続き政府内において適切な対応が図られることを私どもも期待をいたしますし、そのために政府がリーダーシップをとっていくということは大切な課題だというふうに考えてるところであります。 38: ◯副議長上代義郎) 加松総務部長。  〔加松総務部長登壇〕 39: ◯総務部長(加松正利) 災害時要援護者の避難支援対策についてお答えいたします。  まず、災害時要援護者名簿、いわゆる対象者リストを未作成の市町村に対する県の働きかけについてであります。  ことしの2月に、防災等に関する市町村担当者との意見交換会を開催しておりまして、その場におきまして、県内市町村の名簿作成状況を示しながら、早期の作成を促したものであります。  次に、各市町村における災害時要援護者名簿と避難支援プランの作成状況についてであります。  先ほど申し上げたような市町村への働きかけを経まして、本年3月末現在で災害時要援護者名簿を作成している団体は14団体となりまして、昨年7月時点よりも7団体増加しております。また、名簿未作成の7団体におきましても、すべての団体で今年度中の作成に向けての準備や作業が進んでおりまして、今年度末にはすべての市町村で名簿が作成される見込みであります。  他方、避難支援プランにつきましては、3月末現在で作成済みの団体が、昨年の2団体、出雲市、益田市に加えまして隠岐の島町が作成をし、計3団体となっております。また、避難支援プランを作成していないものの、既に自治会等による避難支援体制を整備している団体が3団体という状況でございます。このほか、10団体が避難支援プランの作成について準備作業中であります。また、検討中というものが2団体、残りの3団体がこの避難支援プラン作成については未検討の状況でございます。  次に、避難支援プランの作成が進んでいない原因についてであります。  本年3月末現在で避難支援プランの作成について検討中あるいは未検討とした5団体について、その理由を問い合わせましたところ、災害時要援護者対策の取り組み方針を明らかにした避難支援プランの全体計画というものが別途ございますけども、その全体計画の策定後に個別の避難支援プランについて作成する予定であるというものですとか、あるいは現在、高齢者世帯を対象とした安否確認用のテレビ電話の整備に取り組んでおりまして、避難支援プランの作成についてはこの取り組みが終了後に着手する予定であるというものですとか、あるいは人口規模が小さい、地域住民のつながりが強いといったことで、この名簿を自治会長などと共有することで自治会等での要援護者支援が可能と考えてるといった回答を得てるところでございます。  いずれにいたしましても、それぞれの市町村の実情により、避難支援プランの作成の必要性等を判断して取り組んでいただく必要があると考えてるところでございます。 40: ◯副議長上代義郎) 山根環境生活部長。  〔山根環境生活部長登壇〕 41: ◯環境生活部長(山根成二) 地球温暖化に関する大別2つの御質問にお答えを申し上げます。  まず、温暖化対策協議会の活動内容についてでございます。  この協議会は、県の地球温暖化対策推進計画の推進を図るため、3つの部会を設置いたしまして取り組みを進めております。事業部会におきましては、より多くの事業者の方々が環境配慮の意識を持っていただくために、しまねストップ温暖化宣言事業者の登録数拡大、あるいはエコ経営相談事業の実施などを行っております。家庭部会におきましては、県内に133名いらっしゃいます地球温暖化防止活動推進員と連携されまして、自主的に地球温暖化防止に取り組む県民運動を広く展開しております。例えば県民の皆様方のライフスタイルの見直しを推進するためのしまねエコファミリーの登録者数の拡大などを行ってきております。行政部会におきましては、さまざまな啓発活動、イベント等でございますが、こうしたものの開催のほか、県、市町村、国みずからが率先して一つの事業者として率先してCO2の排出削減に取り組んでまいっております。  しかしながら、議員御指摘のとおり、目標達成は大変厳しい状況にございます。今後、目標達成に向けては、これも御指摘のとおりでございますが、やはり県民お一人お一人の一層の意識改革を図り、それを行動に結びつけていただくということが必要であるというふうに考えております。県といたしましても、これまでも県民の皆様にわかりやすく取り組みやすい行動モデルを御提示したり、消費者と店舗が協力して行う取り組みの支援などを行ってまいりましたが、そうした支援をさらに強化してまいりたいと、かように考えております。  次に、各市町村における地域協議会の設立状況と今後の取り組みについてでございます。  市町村の対策協議会は、市町村、地域住民、企業の方々が連携して、その地域地域におきます低炭素社会と循環型社会づくりを推進することを目的として設立されたものでございます。これまで県といたしましても、さまざまな機会をとらえまして、未設置の市町村に協議会の設立を働きかけてきたところでございます。まだ現在4市で設立されてるところでございますが、今年度から議会の御提言も受けまして、新たに支援制度を設立いたしまして、地域協議会の設立を支援することといたしました。おかげさまで、今年度中にはかなりの市町村で設立される予定であると聞いております。  その活動内容についてでございますが、既に設立した地域協議会におきます今年度の活動内容の主なものを申し上げますと、エコドライブの推進など環境イベントの開催、あるいは家庭ごみ減量などの講習会の開催、エコかるたの作成配布、先進事例の調査研究等々がございまして、地域のさまざまな主体が連携した取り組みがなされてるというふうに認識しております。以上でございます。 42: ◯副議長上代義郎) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 43: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 私からは、高齢者施設、障害者施設、生活保護施設に対する今後のスプリンクラー設置についてお答えをいたします。  平成21年4月施行の改正消防法令によりますと、高齢者施設では113施設、障害者施設では26施設、生活保護施設では2施設で新たにスプリンクラーの設置義務が発生すると見込まれ、平成23年度末までに整備の必要がございます。  今回の国の経済危機対策によりまして、議員御指摘のとおり、高齢者施設につきましては公立を除くすべての入所施設に対して設置費用を助成することになりました。また、障害者施設、生活保護施設につきましては、高い補助基準単価が適用できることになったところでございます。県といたしましては、国の交付金を活用して基金を造成いたしまして、高齢者施設、障害者施設、生活保護施設におけるスプリンクラー整備を支援していくこととしております。  今後、該当施設に対しまして、この支援制度をよく周知をいたしまして、設置に当たっては、設置が必要な場所でありますとか不要な場所とか、消防本部の確認が必要なことから、消防本部との早期の協議を働きかけてまいります。また、県といたしましても、消防本部など関係機関との情報共有を図りながら、早期設置を計画的に進めてまいります。以上でございます。 44: ◯副議長上代義郎) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 45: ◯農林水産部長石垣英司) 私からは、安全でおいしい島根の県産品認証制度についてお答えをいたします。  まず、制度のねらいと認証の仕組みについてであります。  この制度のねらいは3つあります。まず1つは、県産品の安全確保と消費者の信頼を得ること、2つ目は、市場における競争力の強化を図ること、そして3つ目は、品質管理など産地のレベルアップを図ること、これらをねらいとしております。  また、制度の仕組みでございます。まず、認証の対象品目は、農産物、畜産物、林産物、水産物でございます。申請をされる方は、県内でこれらの産物を生産される個人、法人または団体でありまして、認証の有効期間は3年間であります。この認証は更新が可能でございますが、更新を希望される場合には再度申請をしていただく必要があります。  この認証の条件でありますけれども、必須の条件であります安全性を確保する基準、これがすなわち、後にまた申し上げます生産工程管理基準でありまして、これと品質を確保する基準、この2つが必須の基準であります。さらに、任意の条件といたしまして、地域の独自性を確保する基準、この3つの基準を設けまして、専門家の皆さんによる審査を行った上で認証を行うと、こういう制度であります。  次に、生産工程管理基準、いわゆるGAPについてのお尋ねでございます。  GAPというのは、グッド・アグリカルチュラル・プラクティスの頭文字G、A、Pをとって言っております。安全な農産物を生産するために必要な決まり事というものでありまして、例えば適正な肥料の種類と量と、それをどのように施用するかということ、あるいは生産物の選果場において異物が混入しないように定期的に清掃することと、これ以外にもいろいろあるわけでございますけれども、この決まり事を実践をし、その記録を行い、適宜点検を行い、何か改善すべき点があれば改善をするというやり方でありまして、農業生産工程管理というふうに言っていいものだと思います。  この制度におきまして、この生産工程管理基準の作成に当たりましては、NPO法人日本GAP協会というのがあるわけでございますが、こちらが国際的な基準でありますグローバルGAP、こちらはヨーロッパの小売業団体が作成したものでありますけれども、このグローバルGAPに準拠して作成したJGAPを基本としたものであります。このJGAPの中において、特に必須あるいは重要と位置づけられております農薬や肥料の適正な使用、収穫から出荷までの生産物の衛生的な取り扱いなどなどに関する項目の多くを取り入れております。さらに、島根県独自の項目といたしまして、ごみの減少やリサイクル、生物の多様性への配慮、消費者への積極的な情報の提供など丁寧な対応といったものを追加して、充実した内容とされております。  次に、この制度の具体的なPRについてお答えいたします。  議員から御指摘がありましたように、生産者や消費者に対しまして制度を広く周知することは大変重要なことと考えております。現在、この認証制度に関しますリーフレットを作成いたしまして、市町村、農協あるいは小売業者に配布をいたしましたり、この認証制度専用のホームページ美味しまね認証、美味しまねの「おい」というのは美しい味、美味と書きますけれども、美味しまね認証というタイトルでありますこのホームページを開設いたしまして、パソコンだけではなく携帯電話からでもいつでも簡単に生産者や消費者の皆さんが制度に関する情報を把握できるようにしておるところでございます。  今後は、県の広報紙への掲載や広報番組での放映、あるいは市町村や生産者団体にもそれぞれの広報紙への掲載などについて御協力をお願いしていくこととしておるところであります。また、にほんばし島根館や島根県の物産館などでもPRを行ったり、あるいは認証を受けられた生産者が独自に県外で行う販売促進活動の経費への助成、さらには消費者や生産者を対象とした講習会の開催など、こういったさまざまなPR活動を積極的に展開していきたいと考えております。さらに、流通小売業者を対象とした制度の説明会や認証産品の商談会を開催いたしますとともに、ポップといったわかりやすい商品説明やのぼりなどをスーパーの認証産品販売コーナーにも掲示してもらいまして、認証マークが消費者の目に直接触れ、制度の理解を深める機会を今後ふやしてまいりたいと考えております。  ちなみに、先日、くにびきメッセで第4回食育推進全国大会が開催されましたが、こちらにおきましてもPR用の専用ブースを設けたり、フォーラムを開催するなど、制度の周知に努めてまいったところでございます。  最後でございますが、この制度におきまして、認証品目をふやす取り組みについてであります。  本制度を定着させまして、県産品の安全確保、消費者の信頼の獲得などといった本制度のねらいを実現するためにも、認証品目を今後ふやしていくことが重要な課題であると考えております。そのためにも、今後、より多くの生産者に対しまして、この制度の趣旨や内容をよく理解してもらうことが重要と考えております。  そこで、この制度に取り組むに当たって参考となるようなわかりやすい資料を作成いたしまして、個別の生産者や生産者団体などさまざまな人々に配布をしてまいりたいと考えております。また、この制度の導入について非常に関心が高い意欲的な意欲を示されておるような生産者の皆様に対して、直接具体的なアドバイスができるような専門的知識を有した人材を養成してまいりたいと考えております。こうした生産者をサポートできるような体制の強化を進めることによって、制度の浸透を図っていきたいと考えております。  さらには、生産者、流通業者あるいは販売店の声などを広く聞きながら、可能な限り多くの品目について基準の設定を進めるなど、この認証制度をさらに充実してまいりたいと考えております。こういった取り組みによりまして、認証品目の増大につなげてまいりたい、かように考えておる次第でございます。以上です。 46: ◯副議長上代義郎) 鳥屋土木部長。  〔鳥屋土木部長登壇〕 47: ◯土木部長鳥屋均) 山陰道の温泉津江津間と益田萩間の事業化に向けた取り組みについてお答えします。  温泉津江津間につきましては、今後、都市計画決定に向けて、事業者である国土交通省が地元の意見を聞きながら事業計画やルートについて検討することになります。県といたしましては、昨年地元でまとめられた整備のあり方に関する提言を尊重し、速やかに都市計画決定の手続に着手できるよう、国との調整に取り組んでまいりたいと考えております。  また、益田萩間につきましては、国土交通省で、見通しの悪い箇所、災害や事故による通行どめの発生状況など、地域の道路事情の課題の整理や、環境アセスに必要な基礎調査が進められております。さらに、事業を進める上で必要な土地利用の状況等の調査も行われております。県といたしましては、山口県と協力しながら、事業の進め方について調整を図ってまいりたいと考えております。 48: ◯副議長上代義郎) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 49: ◯知事溝口善兵衛) 先ほどの藤間議員の質問のうち、温室効果ガス削減の数字に関連しまして間違いがございました。数字の訂正をいたします。  6つの案が懇談会で検討されておりまして、そのうち真ん中辺の削減率は14%でございまして、14%の場合は太陽発電が現在の10倍ぐらいにふえるという見込みでございましたが、政府はその14に1%乗せまして15%で最終決定したわけですけども、その過程では、太陽光発電が10倍ではなくて20倍に引き上げられておりますので、最終的には20倍でございますので、案としてはですね。間違えましたので、訂正をさせていただきます。 50: ◯副議長上代義郎) この際しばらく休憩し、午後3時30分から再開いたします。        午後3時9分休憩        午後3時33分再開 51: ◯議長田原正居) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  須山議員。  〔須山隆議員登壇、拍手〕 52: ◯須山隆議員 民主県民クラブの須山隆であります。  本日、ラストバッターの質問でありますが、もう少しの辛抱でございますので、おつき合いのほどよろしくお願い申し上げます。  私のほうからは、大きく5点にわたり質問を行いますので、知事を始め関係部長、教育長の答弁をよろしくお願いいたします。  まず最初に、国が直接民間団体等に補助や委託する事業のあり方についてお伺いをいたします。  これまで、西部議員懇話会や民主県民クラブなどの政務調査で県内の現地視察を行ってまいりましたが、その際に、部局は違うのですが、問題としては同じ性質である県民からの苦情を複数聞きました。どういうものかと申しますと、最近の国の行う事業の中で、県や市町村を通さず直接民間団体等に補助したり委託したりする事業がふえてきているのですが、その事業を実施するに当たり、その事業を完了し精算してからでないとお金が支払われないため、事業に必要な資金を銀行で借りるなどして調達しなければならず、支障を来しているというわけであります。一般的な事業の流れとしては、民間団体が国に申請を行い、交付決定された後、事業を行い、年度末までに精算されることになっており、事業によっては事業途中で概算払いも可能なようですが、手続が煩雑であったり、国自体が概算払いを好まないことから、概算払いされない事業もあるようであります。  現地視察で聞いた事例について、二、三、御紹介をいたします。  1つは、民主県民クラブで大田市の現地調査を行ったときのことであります。亀の子という社会福祉法人を視察したのですが、その際に、障害者就業・生活支援センター事業の説明を受けました。この中で、島根労働局が所管をします雇用安定等事業という約1,200万円程度の事業があるのですが、精算するまでお金が支払われず、資金調達に苦労しているというのです。法人格を持っていますから、何とか銀行など金融機関から資金調達することはできますが、利子などは当然事業では見てくれませんから、手出しとなります。  同様に、県の障害福祉課が担当する生活支援等事業という約520万円程度の事業があり、これは何とか四半期ごとの概算払いをしているようでありますが、国の事業のほうは、平成19年度までは四半期の概算払いだったものが、平成20年度から精算払いのみになったようです。県内各地の社会福祉法人で事業を受託されていますが、どこも同じような状況であります。  大田の亀の子さんは、せめて概算払いでもと、島根労働局にかけ合ったようですが、労働局の見解は、原則として精算払いであり、例外的にやったとしても、資金繰り表や借り入れができなかった理由等、多くの書類が必要で、実際に財務省との協議に時間を要するので極めて難しいとのことでした。財務省に至っては、概算払いがないと運営できない法人に委託するのはいかがなものか、財政基盤がある程度しっかりとしたところに委託すべきと、財務官僚出身の知事の前ではまことに申し上げにくいのですが、いかにも官僚が言い放ちそうな言い分であります。島根県においては、どの社会福祉法人も資金に余裕があるわけではないのに、国は、資金調達に苦労している実態など全く理解していないようです。  もう一つの事例は、同僚議員の紹介で邑南町のしまね田舎ツーリズムに参加したときのことです。子ども農山漁村交流プロジェクト事業という農林水産省所管の事業があるのですが、この事業は、全国の小学生を対象に、1週間程度の農家などに民泊をしながら体験活動を推進するというものであります。この事業は、受け入れ地域の協議会を設立することなど条件になっておりまして、邑智郡では、しまね田舎ツーリズムに登録をしております農家などが中心となって田舎体験交流協議会が設立されておりますが、事業のために設立された協議会のため独自予算がなく、事業費約250万円の資金繰りにも苦慮していると相談を受けました。  法人格を持つ団体なら、金融機関も何とかしてくれるでしょうが、このような任意団体にお金を貸すところはありません。その点では、社会福祉法人よりも深刻です。このケースは、結果として邑智郡町村会の資金貸し付けで対応されたそうです。  また、同じ農林水産省所管の事業で、広域連携共生・対流等対策交付金というのがありますが、これは都市と農村の共生、対流や都市農業の振興を推進するための先導的な取り組みを実施する民間団体等を支援するものであります。平成20年度から江津市の移住交流促進協議会が交付金の採択を受け実施をしているのですが、約1,300万円の事業費を農協からの借り入れで賄ったと聞いております。  このように、福祉の増進や地域の振興を目的に率先して事業を行っている団体が、資金繰りが足かせになって事業執行に支障を来している事態を見過ごすことはできません。このように国が県や市町村を通さずに直接民間団体等に補助したり委託したりする事業が現在どのくらいあるのか、そしてその中で概算払い等が困難で資金繰りに困るような事業がどのくらいあるのか、お伺いをいたします。  また、事業のあり方として本来どのようにあるべきとお考えか、お聞かせをください。  先ほど紹介しましたように、契約には概算払いができることになってはいるものの、実質上はできない事例があるようであります。このことについて、国に対し制度の見直しも含め要請する必要があると思われますが、いかがお考えですか。  活力ある島根を築いていくためには、地域でさまざまな課題に取り組んでおられる民間団体等の方々の活動が大きな力になるものと考えます。しかしながら、先ほど御紹介しましたように、国の制度上の問題により、当初の資金調達に苦慮している団体や、事業実施のために有益な情報やノウハウを必要としている団体など、さまざまな問題を抱えている団体も多いのではないかと思われます。県としては、これらの状況を把握した上で、民間団体等の方々が地域で生き生きと活動できるよう、幅広い支援を行っていくことが必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  次に、県立高度情報化センター廃止に伴う地域活動への支援についてお伺いをいたします。  この高度情報化センターは、パソコン研修室、映像音響編集室等の利用を通じて、県民生活及び県内産業の情報化の進展に寄与することを目的に設置をされたものです。県内には3カ所ありまして、松江市のテクノアークしまね、大田市のあすてらす、そして浜田市のいわみーる内に、それぞれ東部、中部、西部の高度情報化センターとして設置をされております。供用の開始は、平成11年度に中部、12年に西部、そして13年に東部が開設をされました。これまで所期の目的を達成するためにさまざまな事業を取り組んでこられましたが、これにより地域での学習活動の広がりなど一定の成果が出てきており、またITを取り巻く著しい社会情勢の変化や、拠点施設の維持管理には多額の経費がかかることから、平成21年度末をもって3カ所のセンターを廃止することとし、今定例会にセンター条例を廃止する条例も上程をされているところであります。  私は、このセンターの行ってきた事業が県民のITのスキルの向上に一定程度の役割を果たしたとして評価をしているところですが、県として今般このセンターを廃止するに当たり、これまでにどのような成果をもたらしたと総括をされているのか、お伺いをいたします。  県内3カ所に設置されているセンターでの地域の活動は、その地域によってさまざまであります。私の調査したところによりますと、東部ではセンターでの活動というより、公民館での活動やサークル、生涯学習グループ等による取り組みが拡大をしてるというふうに聞いておりますし、中部ではまだまだ核となる団体が脆弱で、取り組みが限定的になっているようでありまして、また西部ではシニアネットという団体が高齢者を対象にいわみーるで定期的に研修会を開催して、自分たちで自作のテキストをつくり、高齢者が指導者となって高齢者を教えるといった先進的な取り組みが進んでいます。  県は、各センターの取り組み状況についてどのように把握をされているか、お伺いをいたします。  今後、センターを廃止した後の取り組みについてでありますが、今後は拠点施設を中心とした支援から、県内各地で行われてる住民みずからの学習活動をサポートする支援に移行することとしておりますが、具体的にどのような支援を検討されているのか、お伺いをいたします。  IT講習会というのは、調べてみますと、このようなセンターだけではなく、市町村や民間団体等により、これまで数多く実施をされてきており、そういった点では一定程度のニーズは満たしていると思いますが、センターにおける地域活動の状況を見てみますと、なお高齢者の方のニーズが多いことに気づきます。また、県は平成14年度から、高齢者を対象としたあいてぃ達者という知事表彰を行ってきており、平成20年度までに34人の個人と6団体を表彰をしております。これらの人を組織化してサポートすれば、かなりの効果が期待できると思いますし、あいてぃ達者の知事表彰を受けていなくても活躍している団体も数多くあり、「やってるねパソコン」という冊子にも掲載をされているところであります。
     高齢化の高い本県において、高齢者の方が老いてもなおITのスキルを獲得して社会参画を果たそうという思いは大切にしなければなりません。ITを通じて情報を得たり情報を発信したりして社会参画を果たす、またこれまで培ってきた経験や技術を次の時代へ継承するなど世代間交流の手法としても有効であり、高齢者の方が閉じこもるのではなく、率先して社会参画を果たされることが、島根を元気にする源になると私は考えます。  このような視点から、今後の事業展開として、高齢者と県との協働、これをキーワードに、地域活動を通じた高齢者のITスキルの向上を目標とした事業展開をすべきと考えます。それには、地域活動の取り組みももちろんですが、県内の団体を組織化するなどして、地域間連携により、取り組みがおくれているところに支援に入るなどの取り組みも必要と考えます。  このように、ITという大きな枠組みを、今後は高齢者にターゲットを絞り込み展開されるべきと考えますが、所見をお伺いをいたします。  次に、障害者職業センターの広域的な利用についてお伺いをいたします。  この障害者職業センターとは、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が所管をしておりまして、障害者雇用促進法において、専門的な職業リハビリテーションを実施する機関として位置づけられております。障害者に対して、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを個々の障害の状況に応じて実施するとともに、事業主に対して雇用管理上の課題を分析し、雇用管理に関する助言その他の支援を実施しております。センターは47都道府県に1カ所ずつ設置をされておりまして、本県においても松江市春日町に設置をされております。専門職員の体制は、カウンセラーが5名、ジョブコーチ5名となっております。  このセンターで実施している具体的なメニューとしては、1点目に、職業相談及び職業能力、適性等を把握する検査の実施、2点目に、最も効果的な職業自立のための職業リハビリテーション計画の策定、3点目に、個人の課題に応じた期間と内容を盛り込んだカリキュラムを作成し、職業に向けた支援を実施する職業準備支援、そして4点目に、実施の事業所を職業リハビリテーションの場として、個々の障害特性に応じたジョブコーチによる指導援助がありまして、そのほかにも、療育手帳のない方で就労のための援護制度を活用したい方への知的障害者の判定及び雇用対策に係る重度知的障害者の判定や、うつ病などで休職中の方が職場復帰を検討される際、リワーク支援計画という計画を策定して、スムーズな職場復帰に向けた支援を実施するリワーク支援なども行われています。  また、障害者自立支援法等に基づき新たに各地域の社会福祉法人に設置をされた就労移行支援事業所や、先ほど出ました障害者就業・生活支援センター等においても就労相談や就労訓練を行っていますが、障害者職業センターが受け持つ業務をすべて地域の就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターで分担できるわけではありません。そのような障害者職業センターでしかできない業務については、どうしても松江まで行く必要があり、県西部を中心にして不便を感じている人が少なくないようであります。また、リワーク支援のように、うつ病等で休職されてる方が多い昨今、本来もっとニーズがあると思われるのに、そういった支援があること自体知らないためか、利用される人が少ない業務もあります。  現在、県内各地域において、就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターがどのように県内に配置をされ、そしてどのような事業展開をしているのか、また今後どうあるべきと考えておられるのか、お伺いをいたします。  就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターで分担できない障害者職業センターの固有の業務とはどんなものがあって、県内においてどの程度のニーズがあり、そしてどのように対応しているのか、お伺いをいたします。  また、本来ニーズがあると思われるこのリワーク支援などは、その支援内容を県民にもっと周知する必要があると思われますが、いかがですか。  また、そういった障害者職業センター固有の業務を県西部の県民が不便を感じることなく享受できるようにするためには、県西部に拠点をつくることも含め、何らかの対応を検討すべきと考えますが、所見をお伺いをいたします。  次に、特別支援学校の充実についてお伺いします。  現在、県内においては、視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱の5つの種別で12の特別支援学校が設置をされています。益田養護学校以外11校は設置が古く、老朽化した校舎が多くなっていることに加え、近年、高等部のニーズが高まっており、各学校においても高等部を中心に教室が不足している状況にあります。このような状況を受け、現在、松江養護学校や出雲養護学校では、高等部棟の建設や、安来高校や邇摩高校のように分教室が設置をされています。  しかしながら、特別支援学校全体を見渡してみると、やはり校舎等の老朽化が激しく、リフレッシュ工事等は行われているものの、根本的な対策には至っておりません。建築年度を見てみますと、昭和40年代前半に建てられたのが、盲学校の教室、特別教室棟、浜田ろう学校の管理棟、浜田養護学校の高等部棟、教室棟、屋内運動場であり、昭和40年代後半に建てられたのが、盲学校の管理教室、特別教室棟、出雲養護学校の教室棟、屋内運動場、石見養護学校の特別教室棟、松江清心養護学校の管理教室棟、渡り廊下棟、教室棟となっています。  県は県内の特別支援学校の老朽化の状況についてどのように把握をされているのか、お伺いをいたします。  先ほど紹介しましたように、松江養護学校や出雲養護学校では増築工事が行われているのですが、今後の県全体の特別支援学校の整備計画はどのようになっているのかと聞いてみましても、厳しい財政状況からなのか、白紙状態とのことでした。やはり校舎等の整備には長期的な視点を持って整備を進めるための計画を策定する必要があると思いますが、所見をお伺いいたします。  特別支援学校の教諭、講師の数を見てみますと、12の学校の教諭の定数が666名なのに対し、教諭数が552名、欠員講師が114名と、定数に対する欠員講師の割合が17.2%となっており、全日制高校の9%と比較しても特段に高い状況になっています。特別支援学校の特殊性から、教諭の不足を欠員講師でカバーするのは無理があり、本来なら全日制高校より欠員講師の割合は低くあるべきと考えます。  このような状況となった原因としては、先ほども説明をしましたが、近年急激に高等部のニーズが高まったことや、教諭の退職が多かったことなどが挙げられそうですが、もう少ししっかりとした定員管理が必要なのではないでしょうか。島根県として、このような状況になった原因をどのように分析をしているのか、お聞かせください。  また、特別支援学校の在籍者の数が今後どのように推移するのか、それに対して教諭をどのように採用し、欠員講師の割合をどの程度まで下げる目標なのか、お伺いをいたします。  島根県における特別支援教育のあり方については、平成16年度に、しまね特別支援教育プラン検討委員会によりまして、島根県における今後の特別支援教育のあり方についてというプランが取りまとめられ、以後、平成19年の学校教育法の改正に伴い、教育委員会は、今後の特別支援教育に向けた盲・ろう・養護学校から特別支援学校への転換基本計画を策定し、特別支援教育が進められています。しかし、高等部の急増に見られるように、特別支援教育を取り巻く環境も激変してきており、島根県における特別支援教育がどうあるべきかを再検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。  今の転換基本計画の年限が今年度までということもあり、今後新しい計画の策定が必要と考えます。そこには当然、冒頭に説明した校舎の整備計画も盛り込まれるべきであります。県として、新しい計画についてどのような考えを持っているのか、お伺いをいたします。  最後に、教育委員会の障害者雇用計画の着実な実行についてお伺いをいたします。  障害者の雇用の促進等に関する法律による法が定める障害者雇用率は2%であるのに対し、県教育委員会の雇用率が平成17年度に1.24%で31人不足していたことから、平成18年度から平成20年度の3カ年の障害者採用計画を策定し、目標達成に取り組んでまいりました。しかしながら、3カ年で採用実績がゼロで、法定雇用率に達することができませんでした。  これを受け、厚生労働省は3月27日、法定雇用率に達しなかった島根県を含む全国37都道府県に対し、適正な実施をするよう勧告を行いました。他県の採用実績と比較しても、3カ年採用実績がゼロだったのは島根県のみであり、残念なことであります。今後は、平成20年度の雇用率が1.54%で23人不足していることから、平成21年度から23年度の3カ年の障害者採用計画を策定をし、目標達成に向け取り組むことになっています。  しかし、雇用率等の推移を見てみると、全く採用実績もないにもかかわらず、雇用率は1.24%から1.54%に上がってきており、平成20年12月31日現在の雇用率の状況は1.62%と、全国平均の1.60%を上回っています。これは、退職者の数に比べ採用者が少ないため全体数が減ってきており、結果として障害者の雇用率が上がっただけであって、新規の障害者の雇用がふえたわけではありません。このようなところに、障害者の雇用に本腰が入ってない原因があるのではないでしょうか。  障害者雇用が進まない背景として、教員免許を有する障害者が少ないことや、障害者の採用受験者が少ないと分析をされております。ちなみに受験者数は、過去2年間で1人ずつでありまして、ことしも1人と聞いております。勧告を受けての県の対応としては、勧告を厳粛に受けとめ、採用計画の達成に最大限努力することや、特に教員等の採用面でさらなる改善を検討していくとしていますが、具体性が全くなく、このままでは今後3年間も障害者の雇用は望めません。  まずは、なぜ障害者雇用が進まないのか、その原因をさらに細かく分析し、それに対する対策を具体的に検討すべきです。また、採用面でのさらなる改善も必要だと思いますが、どうしても待ち受けの感が否めません。もっと障害者のほうに積極的に働きかける取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いをいたします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 53: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 54: ◯知事溝口善兵衛) 須山議員の御質問にお答えいたします。  私からは、国によります直接民間団体への補助に関連した問題と、高度情報化センターに関連する質問、この2点についてお答えを申し上げます。  まず、国が民間団体等に直接補助をする、あるいは委託をする、そういうことについて県はどの程度承知をしてるのかという質問でございます。  事務方もある程度は承知していますが、県をスルーして、県を通じて補助をする仕組みになっておりませんから、資金も情報も直接には県を経由していきませんですから、問題のある場合などに民間団体等から県の照会があったり、そういうことを通じて承知をするということが多いわけでございます。議員が御質問になった概算払いの件も、多分そういうことからでございます。  私どもは、担当部局におきましてその問題を確認をし、国に対して概算払いができるよう強く要請をしてきておるところであります。私は、こうした問題は、支援がやはり有効に使われるように、支援をする者がちゃんと手当てをしなきゃいかん、これが第一義的な義務でございますが、そうでないような場合も生じますから、そういう場合には、あるいは市町村にお話があることもあるでしょう。私どもにあることがあると思いますんで、できるだけそうした支援が有効、効率的に使われるように、我々も国に対して関係の方と一緒になって働きかけをしてまいりたいと思ってるとこであります。  いずれにしましても、民間団体の活動が活発になるということは島根にとって大事なことでありますから、そういう観点からも努力をしてまいりたいと考えているところであります。  それから、高度情報化センター廃止に伴いまして、今後の事業はどうなるのかという御質問でございます。  議員の御提案は、高齢者にターゲットを絞り込んだ展開をすべきと思うがどうかということでございます。高度情報化センターは、県内に東部、中部、西部と3カ所にありまして、活動してきてるわけでございます。それぞれ一定の成果を上げてきてると評価をしておりまして、またITを取り巻く社会情勢も著しく変化をいたしましたんで、情報化という仕事だけではなくて、もうちょっと幅広く地域のニーズなども評価をし、あるいは意見などもお聞きをしながらこの施設を活用していこうというのが私どもの考えでございます。そういう意味におきまして、来年度からは県内全域で自主的な学習活動を積極的に支援をする、県民への方々に情報の提供を行う、あるいは研修のための研修機材を貸し出しなどを行う、あるいは研修の講師など派遣についても充実をするということでございます。  過去の動きを見ますと、東部においては地域のITリーダーの広域的な連携の推進とか、きめ細かな相談対応ということが中心であったと聞いておりますし、西部におきましては高齢者の団体の方々に対して特に熱心な活動をされてるという報告を受けてるとこでございます。したがいまして、地域地域でいろんな必要といいますか、ニーズも違いますから、それぞれの意見をお聞きしながら、例えば西部では高齢者の方々への研修等を引き続き要望に応じてやるとか、いろんな工夫の余地があると思いますので、よく相談をして、適切に運営するように努力してまいりたいと思っております。以上です。 55: ◯議長田原正居) 長谷川地域振興部長。  〔長谷川地域振興部長登壇〕 56: ◯地域振興部長(長谷川眞二) 高度情報化センターについて、私のほうからは、成果などの御質問にお答えいたします。  高度情報化センターは、情報化の推進を図る拠点といたしまして、平成11年度から県内3カ所に順次設置し、情報に関する研修の実施や利用者への施設設備の提供などに取り組んでまいりました。開設以来、センターを中心として、延べ約9万5,000人の方に一般県民向けのパソコン研修を受講していただきました。また、地域活動の中心となっていただく地域ITリーダーの養成を目的とした研修につきましても、延べ約7,400人の方に受講していただいております。こうした事業を通じて、地域ITリーダーを中心に、公民館活動やサークル活動など地域での学習活動が広がり、施設の設置目的に即した成果が得られたと認識しております。  各センターでの取り組み状況につきましては、それぞれ施設を委託しております団体から報告を受けておりますが、ちょっと概略を申し上げますと、東部におきましては、先ほど知事が申し上げましたように地域ITリーダーの広域的な連携の推進ですとか、きめ細やかな相談対応の先駆的な取り組みが行われております。また、中部におきましては、地域ITリーダーのレベルアップを目指す研修ですとか、地域活動の拡大のための人的交流の基盤づくりですとか、そういうことが行われております。また、西部におきましては、議員からもお話がありましたように、高齢者の団体の方が特に熱心に活動をしていただいております。また、地域へ出向いての実践活動の積極的なサポートなども行っております。それぞれ各地域におきまして、それぞれ特徴ある取り組みが行われているとこでございます。  センター廃止後につきましては、先ほど知事が申し上げましたように、いろんな地域での取り組み現状というようなものを踏まえた上で行うことにしておりまして、相談窓口の開設ですとか地域講師の派遣、機材の提供、地域ITリーダーの交流機会の確保など、具体的な支援を検討してまいりたいと考えております。 57: ◯議長田原正居) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 58: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 私からは、障害者職業センターについてお答えをいたします。  まず、就労移行支援事業と障害者就業・生活支援センターについてでございますが、就労移行支援事業は、就労を希望する障害者に一定期間、就労に必要な知識や能力を身につけていただくための訓練を行うもので、現在県内に20カ所事業所がございます。福祉施設から一般就労を目指すときや学校卒業時、それから離職時などにおいて、就労意欲を持ちながら、就業能力や体力の不足等によりまして就労できない障害者のための実践的な訓練の場として重要な役割を果たしております。現状では、配置箇所数が少ない圏域もあることから、各圏域ごとにバランスよく配置するとともに、訓練機能を高めながら就労支援の核となるように取り組みを進めていきたいと考えております。  また、障害者就業・生活支援センターでございますけども、就労を希望する障害者に就労に向けた準備訓練や職場開拓、健康管理、生活設計など、就労と生活両面からの支援を行うものでございまして、7つの障害保健福祉圏域に1カ所ずつ設置をしております。地域の実践的な就労支援機関として、大変高い就労実績を上げておりまして、今後ともその取り組みを強化していく考えでございます。  次に、障害者職業センターの固有業務とそのニーズ、対応についてでございます。  障害者職業センターは、障害者が職業生活における自立を図るために必要な職業指導や職業訓練等の障害者リハビリテーションを行う専門機関でございます。県内における利用は、ほとんどがハローワークでありますとか障害者就業・生活支援センター、それから施設、それから特別支援学校、それから医療機関等からの依頼によるものでございまして、そうした地域の就労支援機関で対応できない職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ派遣などの専門性の高い支援を行っておられます。また、近年は、精神障害者や発達障害者、高次脳機能障害者に対する専門的な支援や、地域の就労関係機関に対する技術面での助言、援助などにも力を入れておられるところであります。  障害者職業センターの取り扱い人員は、昨年度、新規で117人、継続で168人程度と聞いておりますけども、その業務に対するニーズは高く、果たす役割も大変重要であると考えております。  なお、障害者職業センターが行う業務のうち、ジョブコーチ派遣は、県内どこでも派遣が可能であります。また、職業評価や職業相談については、県西部等の遠隔地からの利用の場合は、要望に応じて現場へ出張して対応を行っております。また、職業準備支援やリワーク支援これは精神障害者の方への復職支援のことでございますがなどの通所が基本となるものについては、宿泊施設の借り上げ等の支援も行っていると聞いております。  また、リワーク支援の周知については、障害者職業センターにおいて新聞や各種広報紙等を利用して広報が行われており、県においても制度紹介パンフレットに掲載するなど、周知に努めているところでございます。  次に、障害者職業センターの県西部への対応についてであります。  障害者職業センターは、障害者雇用促進法に基づきまして都道府県に設置をされる専門機関でありまして、御指摘のとおり、大都市部を除きまして各県に1カ所ずつ設置されております。各県への設置状況や、センターが有する高いノウハウ、専門職員の配置を考えますと、同様の拠点を県西部等に新たに設置されることは困難であろうと考えますが、県としましても、県西部や隠岐等からのセンターの利用が円滑に行われるよう、まず利用者のニーズをよく把握をいたしまして、出張派遣体制の強化でありますとか、通所利用者に対する利便性の向上等が図られるよう、センターとよく協議をしていきたいと考えております。  また、県としましては、圏域において就労移行支援事業や障害者就業・生活支援センターの機能を強化するとともに、関係機関によるネットワークの構築等を図りながら、基本的な就労支援については圏域で完結できるように取り組みを進めてまいります。その上で完結できない高度な業務や課題については、障害者職業センター等の支援を受けるという役割分担を進めていきたいと考えております。以上でございます。 59: ◯議長田原正居) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 60: ◯教育長藤原義光) まず、特別支援学校の老朽化の状況の把握と整備の考え方であります。  特別支援学校の建物の建築年代は、昭和40年代の前半が15棟、40年代の後半が25棟、50年代が61棟、60年代が17棟、そしてまた平成に入ってからのものが76棟であります。また、すべての学校に対しまして修繕の要望箇所の現地調査などを実施することで、現状の把握を行っております。こうした校舎等の整備につきましては、県立学校全体の整備計画の中で、こうした老朽化の状況調査の経過等に基づいて順次計画的に実施していくという考え方にしております。  次に、特別支援学校の講師数の増加についてであります。  特別支援学校の教員の定数についても、標準法によりまして、基本的には毎年度の学級数が算定の基礎になっております。算定の基礎となります1学級の児童生徒数は、小中学部については、重複障害がある場合には1学級3名、単一障害の場合には6名、高等部につきましては、同じように重複障害の場合には3名、単一障害の場合には8名という人数でくくることになっております。このように、1学級の人数が非常に少人数で構成されてるということから、学級数は生徒数が数名増減いたしましても毎年度大きく変動すると、しかも今言った人数は各学校ごとに算定することになりますから、大きく変動するということになります。  特別支援学校全体の学級数の推移を見ますと、平成17年度から本年度までの5年間で62学級増加しております。また、高等部の生徒数、学級数はこの数年で急増したということでありまして、教員の採用についても平成18年度から本年度まで48名を増員いたしました。可能な限り教諭の採用に努めております。しかしながら、今後の児童生徒数やそれに伴います教員定数の増減については不確定な状況にありまして、教員定数の増加分のすべてを教諭で充足するということは定数の管理上できませんので、議員の御指摘にありましたように、結果として欠員の補充という講師数が平成17年度から45名増加いたしました。  今後の特別支援学校の在籍者数の見通し、それに伴います講師の数についてでありますが、現時点でのあくまでも推計にすぎませんが、6年後には約25名の児童生徒数が減少するというふうな数字を試算しております。学級数も同じく6年後には23学級程度減少するという推計をしております。今後、特別支援学校の教員の退職者数も大きく増加しない見込みでありますので、こうした学級数の減少によりまして、教員定数が33名減が考えられます。そうしたことから、6年後には欠員補充の講師数は約30名前後となりまして、1学校当たりで見ますと約3名の講師を配置するということになるというふうに見通しを持っております。  次に、特別支援学校の今後の運用の計画であります。  平成19年4月から学校教育法の一部改正に伴いまして、特別支援教育が実施されることになりました。本県でも特別支援学校への転換の基本計画を策定いたしまして、平成22年3月までの対応について、この基本計画に基づいて行っております。具体的には、それぞれの特別支援学校がさまざまな障害に対しての相談の窓口となりまして、地域の相談センターとしての機能を果たすというふうなことを骨子としております。  今後の計画については、増加傾向にあります発達障害の生徒などへの指導とか、重度化、重複化あるいは多様化する障害の対応などの課題を整理いたしまして、特に知的障害者の特別支援学校の高等部の生徒の推移等も推計しながら、県立学校全体の整備との調整も考慮して、ハード、ソフト両面から計画を検討していくということにいたしております。  次に、障害者の雇用計画についてであります。  障害者の法定雇用率は任命権者ごとに定められておりまして、教育委員会については、教員及びその他の事務職員を母数としておりまして、2.0%と設定されております。本県の教育委員会における昨年末時点での雇用率は、御紹介がありましたように1.62%であり、これを下回っております。  これまでも障害者雇用の推進については、教員採用に当たって障害者枠を設けるなどの努力をしてまいりました。しかしながら、教員免許を有する障害者がもともと限られておるという点がありますし、また例えば小学校では学級の担任が原則全教科を担当するというのが建前になっておりますので、教員としての職務内容の面でも厳しさがあることが、雇用の進まない構造的な要因となっていると考えております。  そういうふうなことから考えますと、なかなか教員での採用をふやすということは困難が伴うというふうに思いますので、今後は教員の採用に加えまして、新たな障害者の雇用の可能性を模索する必要があると考えております。現在、教育委員会所管の事務職員の任用のあり方を含めまして、障害者の雇用計画の達成に向けての具体的な検討を行っておるところであります。早い機会に達成したいということで取り組んでまいります。 61: ◯議長田原正居) 須山議員。  〔須山隆議員登壇〕 62: ◯須山隆議員 答弁ありがとうございました。  その中で3点ほど再質問をさせてもらいたいんですが、まず1つは、最初の、国が直接民間団体へ委託する業務、これについてなんですが、非常に知事の答弁あっさりとしておりましたですが、本来では当然国が担保すべき、実施主体ですから、やるべきだろうと思います。ただ、今の現状は、先ほど言ったように資金を調達するのに困難な状況になっているというのがあって、それをだれが支弁をするのか。本来はそういった概算払いなんかを要求することも重要ですけども、そもそも論ですね、事業をやるのに、なぜ福祉の増進とか地域の振興をする事業をしようとしてる人が、例えば金を借りて利子まで払わなきゃいけないのか。私は、もっとそういったところに目を当てて、せっかくやろうとしてる人に、もうけてくれとは言わんですけども、手出しをしてまでそういった事業をさせるということはいかがなものなのかなと。  そのことをだれに言えばいいか。本来、国なんでしょうけども、国が動かない。では、市町村か。市町村もつかみ切ってない。そういうことであれば、その真ん中にいる県がしっかり調査をして、どこにそんなものがあるのか、まずは事業をしっかり調べてもらって、それに対してどういうふうに対応できるのか。例えば無利子の融資制度をつくるのか、それとも利子補給制度をつくるのか、そういったことは、やっぱり県じゃないとできないと思うんですよね。  県内見てみますと、斐川町さんなんかがそういった制度をつくっておられます。あとは、さっき言ったように農協から借りたり、どっかから貸し付けをしてもらってますけども、結局はそういった利子を手出ししてやっとられるわけですから、ぜひともこれは県の問題ということというふうに位置づけてもらって、しっかり議論してもらいたいというのが1点です。  それからもう一つ、高度情報化センターの関係ですけども、これも知事にちょっとお伺いしたいんですけども、きょうの一般質問なんですけども、実は先ほど紹介しましたシニアネットはまだの会員の方が、インターネットを通じて傍聴されてます。これ会員数155名おられまして、多くの方が多分今も聞いておられると思うんですけども、この方たちが心配してるのは、このセンターが廃止になっても、引き続きこれまで同様な地域の活動ができるんだろうかと。そのことは今のシニアネットだけではなくて、県内各地のいわゆる例えば高齢者のITのスキルアップのために活動されてるグループの方が皆さん不安がっとられるんです、今回のセンターの廃止によって。そういったことが実は杞憂であって、センター廃止後も同じような条件で地域活動が続けられるということをぜひとも知事の口からインターネットを通じて発信していただければというふうに思います。  それからもう一点、これは部長にお聞きしますが、先ほど障害者職業センターの関係のリワーク支援に特化した話をしたいんですが、このリワーク支援というのは、先ほど言いましたように、休業中のうつ病の方のような方などの精神障害者の方が円滑に職場に復帰できるよう、主治医及び事業主との連携のもとに、本人及び事業主に対して支援を行う、これがリワーク支援なんですけども、平成20年度の実績見てみると、新規で11名、継続もあるようですから、11名あったようです。利用されてる方は松江とか出雲ばっかりのようでありまして、かつては益田とか米子、雲南からも利用があったんですけども、支援が1年とか1年半というふうな長期になってセンターに通えない方は、先ほどありましたように松江に宿泊、借り上げしてもらって宿泊することもできるんですけども、宿泊は無料としても、宿泊に伴う食費、交通費、これは当然自己負担ですし、訓練期間中、自宅から、家族から離れて暮らさなきゃならない、こういったことや、うつ病の方を一人で長期に松江に宿泊させる、このこと自体に家族の抵抗があるようであります。  先ほど言いましたように、うつ病がふえてる昨今、本当はニーズがあると思うんですけども、利用者が少なく、かつ西部からの利用が極めて困難な状況、このことを解決するには県がどのようなことができるのか、このことを再度お聞きをして、再質問にかえたいと思います。よろしくお願いいたします。 63: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 64: ◯知事溝口善兵衛) 須山議員の質問にお答え申し上げます。  2点あるわけですが、第1点目の、国が直接民間団体に補助をすると。実はこういうものが少しふえてるという話を聞くんですね。あるいは市町村にダイレクトに国がする。本来からしますと、今、地方分権を進めようということなんです。それで、地方に身近な仕事は、財源と仕事を市町村なり県に移譲して、そこでやっていくというのが大きな流れだと思うんですね。  やはり今のお話を聞きながら感じたことですが、国は大きな組織なわけですね。そこが必要あってのことだと思うんですけども、各地域の民間の団体を含め、国からすれば金額はそう大きくない個別にはですね事業をやってる。やはりそういう面からも考えていかなきゃいかん問題だなと思います。しかし、現にありますから、現にある問題については、我々はそれは支援が効率的に行われるように国自身に要請をしていかなきゃいけませんし、またそういうことでお困りの人からお話を受けて、我々もそれをきちっと国に伝えていくということをいたしたいと思いますが、もっと大きな問題が実はその背後にあるというふうに私は見ております。  それから、他方で、じゃあそういうものを県をスルーして、市町村をスルーして、民間にしていいのかといいますと、それはまた不効率なわけですね。そういう問題をどう整理していくかという大きな問題で、知事会などでもこういう問題についての議論が出ておるわけでございます。  それから、次の問題は高度情報化センター、西部におけるシニアネットのお話でございます。  先ほど触れましたように、3つのセンターがありましたけども、それぞれ特色のある仕方で運営をしてこられたわけであります。センターというそのものはなくなりますけども、いろんな活動ができるようになってるわけでございます。活動の仕方は、やはりその地域地域で必要なもの、あるいは住民の方々が求めるもの、そういうものをやっぱり総合的に勘案して適切に対応していく必要があると考えます。一般原則でございますが、今の具体的な話は私もまだよくお聞きしておりませんので、よくお聞きしながら検討してまいりたいというふうに考えるとこであります。以上であります。 65: ◯議長田原正居) 錦織健康福祉部長。  〔錦織健康福祉部長登壇〕 66: ◯健康福祉部長錦織厚雄) 障害者職業センターについての再質問についてお答えをいたしますが、近年やっぱりうつ病の方などの休職がふえておりますので、そのリワーク支援というような事業は非常に重要だと思います。国のこの事業を見てみますと、12週から16週程度支援が必要なうち、努力をされまして、20日から30日程度を通所してもらいたいというふうになっているわけでございますけども、ただそういう病気をお持ちの方だからつらいところもあるというようなことで、私どもとしてももう少し何とか工夫ができないものかということを、先ほど申し上げましたとおり、国の皆さんとしっかりその協議をしていきたいというのが1点でございます。  それからもう一つは、やはりほかの事業でもこういう事業がございまして、県西部の方でも受けやすい事業もございますので、こういう事業との連携もできないかというようなことも探ってみたいというふうに考えております。以上でございます。 67: ◯議長田原正居) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月30日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後4時32分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...